偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「長期シリーズの新刊」という書評ブログにとっての鬼門

長らく本の感想記事をBlogで書き連ねてきてつくづく思うのは、シリーズ物の作品、それも十数冊と巻を重ねた長期シリーズの新刊の感想記事の書きづらさ。 「相変わらずの面白さ」なんてつい使ってしまいがちな表現も、それまでのシリーズを読んでいないとさっ…

「夜愁」

夜愁〈上〉 (創元推理文庫) 1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で生きるケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たち。戦争を通じて巡り合った人々は、毎日をしぶとく生きていた。 そんな彼女たちが積み重ねてきた歳月を、…

恋歌よ、世界へ響け - 「とある飛空士への恋歌」(5)

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫) ──いま行くよ、クレア。 ──愛しい、風呼びの少女。 「とある飛空士への恋歌」シリーズ、これにて完結。 3・4巻に引き続いての怒濤の盛り上がりを期待していたら、予感を漂わせつつも終始淡々としたまま終わってしまって…

最近の購入物

家にある積み本をほぼ全て読み切ってしまったのでAmazonやら古本屋やらでいろいろ購入。またこれで我が家の1cmピッチ文庫本ラックの空きスペースが残り少なく…… とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)C3‐シーキューブ〈3〉 (電撃文庫)C3―シーキューブ〈4〉 (…

「C3―シーキューブ」1〜2巻

C3―シーキューブ (電撃文庫) 「藍坂素敵な症候群」が面白かったので手を出した同著者の本シリーズ、ただいま2巻まで読了。(2011年1月現在で10巻まで刊行中) 女の子達は各種の「属性」をよりどりみどりに取り揃えて全方位の好みに対応し、イラストはそんな…

2010年いろいろ振り返り

今年も残すところあと少し。各種の作品感想系ブログで「今年のベスト」なんてのが次々と発表される時期となりましたね。というわけで、俺も時流に乗って各種のベスト作品と、今年のネット上での活動の振り返りを書いてみるとします。 なお、以下のうち作品感…

どうか愛して、わたしたちを── - 「スワロウテイル人工少女販売処」

スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA) 男女の性交渉により発症・進展する〈種のアポトーシス〉と呼ばれる奇病が蔓延した近未来。関東湾に浮かぶ人工島に設けられた男女別自治区に隔離された感染者たちは、人を模して造られた人工妖精(フィギュア…

最近の購入物

この時期の常として一時的に可処分所得が急増したので盛大に散財です。最近コンパクトデジタルカメラに限界を感じつつあり、いろいろと調べてみて購入を決めたEOS60Dのダブルズームキットを思い切って購入です。Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 60D ダブル…

"素敵"な彼女と、いつまでも── - 「藍坂素敵な症候群」(3)

藍坂素敵な症候群〈3〉 (電撃文庫) だから、これはただの好意などではない。ただの恋慕などではない。 それよりももっと、病的なもの。欲望を抑えきれない、病気のようなもの。 そうだ。もう自分は、完全に。 あるいは、とっくの昔に── 藍坂素敵な症候群に、…

今日の購入物

羊肉オフで札幌を訪れ、ついでに久しぶりにメロンブックスに行ったら物欲が暴走して1.5kgくらい買い物をしてしまったぜ…… イエスタデイをうたって 7 (ヤングジャンプコミックス)ひゃあ!! この人間関係の錯綜っぷりがたまらん!! もう辛抱たまらん!!(ハ…

目指せ、楽園(ハーレム) オトせ、"ヒメ神" - 「神なる姫のイノセンス」

神なる姫のイノセンス (MF文庫J)神なる姫のイノセンス 2 (MF文庫J) ある日突然謎の集団に拉致された、平和を愛する一人暮らしの男子高校生・神堂祐貴。仕組んだのは、ある事情により十年間、別々に暮らしていた双子の妹、貴理だった。 さらに祐貴は、貴理が…

最近の読書(2010年10月分)

最近忙しくて更新が滞ってしまったのでまとめて簡単な感想記事を掲載。 とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫) 1巻〜3巻中盤までの丹念な積み重ねを、そこからの怒濤の戦闘シーンで一気に消費してさらなる高みに駆け上るさまに衝撃を受けてから8ヶ月あまり。 …

立派な社会人に"なれる"? ひどい労働環境に"なれる"? - 「なれる!SE―2週間でわかる?SE入門」

なれる!SE―2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫) 平凡な社会人一年生、桜坂工兵は厳しい就職活動を経て、とあるシステム開発会社に就職した。 そんな彼の教育係についた室見立華は、どう見ても十代にしか見えないスーパーワーカホリック娘で!?多忙かつまったく優…

小川一水エッセンス、全部詰めちゃいました - 「天冥の標」(1)〜(3)

天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) できることを全部数え上げた上で、できるかどうかわからないことや、やったことのないことをさらに盛り込んで、この話にしたという次第です。 した、というと時制がおかしいな。これから、する…

変態さん、あなたを、しゅじゅちゅ<手術>します - 「藍坂素敵な症候群」(1)(2)

藍坂素敵な症候群 (電撃文庫) 藍坂素敵な症候群〈2〉 (電撃文庫) 主人公、那霧浩介が転校初日に連れていかれたのは、医術部というちょっと奇妙な部活。 部長・藍坂素敵。ちっちゃくて白衣を纏いメスを持ち、やたらと元気な女子。部員その1、宵闇ヶ原陰子。傘…

彼女は異国の王女さま -  「耳刈ネルリ」シリーズ読了

耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫) 「自由・平等・博愛」をスローガンとして掲げ、委員会制度によって統治される"活動体連邦" 連邦辺境の村で育った主人公レイチ・レイーチイチは、中央活動委員会のメンバーである父のコネで「八高」こと第八高…

最近の読書(2010年6月版)

読んだきりで記事にまとめていなかったここ最近の読書について、まとめて感想を書いてみます。今回の対象は以下の3冊。 耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)社会主義国家ネタ絡みで俺の近辺で妙に騒がれていて、気になっているうちに3巻で完結し…

最近の購入物(Amazonから到着)

Amazonのカートに入れたまま放っておかれていたものから幾つか注文。リトルグッバイYouTube - ゼーガペイン ED 忘れるな、我が痛み - 「ゼーガペイン」1〜17話 - 偏読日記@はてな 消されるな、この想い - 「ゼーガペイン」18〜26話 - 偏読日記@はてな 「ゼー…

9年は長い。そんな当たり前のことに今更気づいた。 - ウィザーズ・ブレイン(8)落日の都(上)

ウィザーズ・ブレイン〈8〉落日の都〈上〉 (電撃文庫) 「かわいい男の子とかわいい女の子が出てきて、物理の力で戦う未来のファンタジー」(著者インタビューより)な本シリーズ開始もから9年、通算で14冊目。まさかここまで来て、1巻の神戸崩壊がつながって…

少年は、宇宙を駆ける - 「シドニアの騎士(2)」

シドニアの騎士 2 (アフタヌーンKC)誰にでも勧められる弐瓶勉作品なんてものが世に出る日が来ようとは…… 時間・空間的に異常にスケールが大きい世界を、言葉だけのものでなく説得力のある「画」として表現してしまう。それが、俺にとっての弐瓶勉作品の魅力…

最近の購入物(Amazoから到着)

STEINS;GATE ドラマCD α「哀心迷図のバベル」ダイバージェンス0.571046%まゆしぃ一筋の俺としては一番期待しているのはドラマCD第2弾の 「STEINS;GATE ドラマCD β「無限遠点のアークライト」ダイバージェンス1.130205%」 であり、第1弾たるこいつにはお手並…

最近の購入物

仕事の関係で今週は週末までずっと札幌に滞在なので札幌紀伊国屋でお買い物。この店に来る度にニートの19歳女の子を札幌『紀伊国屋』に連れてったら感動して泣かれた話を思い出してはなんとも奇妙な気分になるのが常ですが、彼女も(実在していれば)もう21…

かわいい女の子たちの『少年漫画』 - 「とある科学の超電磁砲」(1)〜(4)

とある科学の超電磁砲 1―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス) 半年ごとに定期的にやってくる「可愛い女の子が観たいでござる!!」状態をもてあましている クソッ また暴れ出しやがった…… http://twitter.com/a_park/status/10385363207 前にこうなっ…

最近の読書(2010年3月版)

ここしばらく読んだ本の感想を書いていなかったのでまとめて更新です。 1作品1記事の原則にこだわりすぎると時間が無くて記事に出来なくなるので、この形式と通常の感想記事を併用していくのが良いのかも。 エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))「頭の…

まゆしぃがメインヒロインで無いと明言されて俺が涙目 - 「シュタインズ・ゲート 公式設定資料集」

シュタインズ・ゲート 公式資料集 (ファミ通Xboxの攻略本) やみなべ祀弐で上京している間に届いていた「Steins;Gate」の設定資料集を流し読み。この手の本を買うのなんて「『マブラヴ オルタネイティヴ』公式メカ設定資料集」以来ですよ……ってつい最近じゃな…

最近の購入物 & 読んでる本

小説のストラテジー いちごの学校 (ヤングキングコミックス)「いちごの学校」は読んだ事だけあって持っていなかったのでついでに購入。 再読してきづきあきらは「視線の演技/視線による間の取り方」が上手いとなあとつくづく感心してました。 戦争における「…

恋と空戦の物語、ふたたび - 「とある飛空士への恋歌」(1)〜(3)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫) とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫) とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫) ──海の尽きる場所を、空の果てを見つけるために。 「これはきれいに飾り立てられた追放劇だ」 数万人もの市民に見送られ、盛大な出帆式典により…

最近の読書(2010年1月版)

ちょうど1月も終わりと言うことで、今年に入ってから読んだ本の感想記事をまとめて書いてみます。 掲載順はそのまま読んだ順。 紫色のクオリア (電撃文庫) あらゆる世界の経験を糧に、全ての可能性を、武器に── さあ、トライ&エラーをはじめよう。 「人間が…

"まんまんちゃん”は、全てを見守る - 「まんまんちゃん、あん」

まんまんちゃん、あん。 1 ──バカな子 親切や優しさが 善意からしか出てこないと そして 善意からは 親切や優しさしか生まれないと信じてるのね 寺の跡継ぎと結婚したはいいものの、夫の事故死により二十歳前にして未亡人となってしまった主人公。 ふってわ…

「ボタン穴から見た戦争 白ロシアの子供達の証言」

私たちはレニングラードからウラルのカルピンスク市に連れて行かれました。私たちの学校全体が移動したのです。カルピンスクではみんな公園に駆けつけました。私たちは公園を散歩したのではありません。公園を食べたんです。 ことに好物だったのは落葉松で、…