偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編

昨日予告したとおり詳しい感想です。ネタバレ注意。








運命なんて金魚すくいの網より薄く破ってやるって言った。
私はそれを信じる。今でも信じてる。
……だって、……あなたは運命なんかやすやす打ち破ってくれる人なんだもの…。
………だから、助けて。この運命から。



ついに今回で「ひぐらしのなく頃に」という作品の「世界の枠組み」と、これまで各編で犯人を変え手段を変え起こってきた殺人事件たちの「起こる理由」を大公開。
個別の事柄について全て説明したわけではないですが、ここから推測する事は可能だろうのでこれで謎はほぼ完全に明かされたことになりますね。


明るく楽しい序盤・事件の起こる中盤・怖い終盤というお決まりのパターンでなく、今回は序盤からかなり重大なネタばらしをやって話に引き込んでくれます。
構成も持ち上げては落とし持ち上げては落としで緩急が上手くつけられていて、実に先を読みたくなるお話でした。


そして「何を推理すればよいかを考えるのがひぐらしにおける『推理』だ」みたいな言葉をどこかで見かけたことがありますけどまさにその通り。


…個人的には既存のヒントから論理的に考えていって黒幕を突き止めることが可能なのかだいぶ疑問です。
それ以外にも沙都子の病気・羽入の存在・診療所の真の目的等々の今までほとんどまともなヒントのなかったことをいきなり明かされても唐突過ぎて困りましたよ。


数々のヒントから個別の事件の犯人や謎を明らかにするというのではなく、各編を貫くルール、すなわち「世界の枠組み」を見つけ出すことこそが求められていたのでしょう。
そしてそれさえも明らかになってしまった今、できるのはいままでの作品(鬼隠し編罪滅し編)を解釈する事とどうやればこの物語をハッピーエンドに持っていけるか考える事のみ。



こうしてみると、問題提示編である鬼隠し編〜暇つぶし編が出ていて来るべき「ひぐらしのなく頃に解」に備えて皆で真相について頭をひねっていた2004年の夏から冬にかけてが、「ひぐらしのなく頃に」にとってはもっとも幸せな時間だったのではないかと思えてきますね。
知名度が一気に上がったのもちょうどその頃でしたし。


その頃の俺の感想を読み返してみると、
「なんというか物凄く自然に(気付かないうちに)思考の方向を誘導されて行ってる気がするんですよね…
(中略)わかりやすい描写や何やらでミスリーディングを誘い、真に重要な部分に目を向けさせないようにしている気がしてならないですよ。」
鬼隠し編


「お話の展開に怖がったり切なくなったりしている時点で既に判断力を失って作者の思うがままになっている気がします。」(崇殺し&暇つぶし編)


なんて言っていて割と良い線ついてると今になってみれば思えるんですが、そこでそれ以上考えなかったのが正答率1%に含まれる人達との違いなんでしょう。