偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

俺は「B29を帝都上空で迎撃する震電が見たいよ」

病室には妹の苦しそうな吐息と心拍計の電子音だけが響いている。
妹の白い顔は時折苦しげに眉をゆがめるが、それ以外は至って静穏 なものだ。

とても、医者がさじを投げた患者には見えない。
なんで、俺じゃなくて妹なんだ。まだ中学生じゃないか。あんまりだ。
「お兄ちゃん……」
いつもの祈りとも呪詛ともつかない思いが終わる前に、妹が静かに口を 開いた。
「……なんだ?」
「わたし、飛行機が見たいよ。」
飛行機どころか、この1年外にだって出られていないのに。
「飛行機か。……どんなのが見たいんだ?」
「うん。」
ちょっと考え込んだ妹は、儚げに笑ってこう答えた。





「……F-108レイピアに護衛されて飛ぶXB-70ヴァルキリーが見たいよ。」



ちょwwwwwおまwwww無理wwwwwww

ふとしたきっかけで「妹に、飛行機を見につれてけと言われています。」を発見して読むふけってました。
上に挙げた>>13をきっかけとしてコピペ改変を皆でやってるんですが、とにかく一発目のクオリティがあまりに高すぎてほとんどの改変が見劣りしてしまっています。


病床の妹が実は軍ヲタという意外性で笑わせるほかに、開発途上で計画中止になったF-108、結局試作のみで量産されなかった(しかも試験飛行中に1機は事故で喪失)悲運の機体であるXB-70というセレクトが妹の行く末を暗示しているようで何度も読んでいると悲しくなってきますよ。

北欧神話の「ヴァルキリー」が勇敢な戦士の魂を死後に天上へと導く者であるというのまで関連付けるのは流石にこじつけが過ぎましょうけど。


個人的には「わたし、海に行きたいよ」「見られるとも」「今度は、遅れないように乗せてあげるからね」 と続く一大宇宙開発物語が本気で見たいです。
普通に泣ける話になってる気がしますよこれ。