春待ちの姫君たち
- 作者: 友桐夏,水上カオリ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11/30
- メディア: 文庫
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もっと泣き叫んでくれたほうが良かったのに。
もっと怯えてもっと傷ついた姿を見せてくれたほうが良かったのに。
ちまちまやってたんじゃ効果が出ない。
長引かせるのも限界だ。
さあ、そろそろ幕を閉じる準備をしよう。
デビュー作の白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)では館モノのミステリと思わせておいて強烈などんでん返し&策略系邪悪ヒロインを仕込んできましたが、今回はあれほどのサプライズは無し。
中盤ではやばやと主人公の抱える秘密が明らかになってしまうため、終盤のどんでん返しを期待して読んでいた身には拍子抜けでした。
が、山奥の館という閉鎖空間内かつ仲良し4人組だった「白い花〜」とは違いこちらは女子校が舞台なので女の子社会の独特な黒さを存分に表現。
主人公がいじめを受けてクラス全員から無視されるシーンなど読んでいて辛いです。
「秘密」が少々荒唐無稽に過ぎるかと言う気もしますが、それを言ったら「白い花〜」の根幹となる謎の部分も現実離れと言う点では同じようなもの。
ある意味ティーン向けの「少女小説」としては正しいアプローチと言えるかもしれません。
終盤のサプライズのために全てを積み上げたのが「白い花〜」なら、劇中劇「春待ちの姫君たち」と本編ストーリーのリンクやあえて中盤で主人公の「秘密」を明かしてしまうといったことにより全体の構成の完成度を高めたのが「春待ち〜」と言うことですね。
あと、今回は直接行動系邪悪ヒロインが登場。上記の引用台詞等々を吐きながら結構えげつない事をしてくれます。
個人的には裏から手を回す策略系(「白い花〜」はこのタイプでした)の方が好きなのでそういう点ではいまいちかな。