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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

ナツノクモ 1〜5

ナツノクモ 5 (IKKI COMICS)

ナツノクモ 5 (IKKI COMICS)

あの人達には同じ事なんでしょう。
海岸のゴミ拾いをする事や、街角で募金を呼びかける事と。
それが本当にいい事だと信じていて、
私達の森や友達や子供達を焼き尽くそうとするんです。
あの人達は本当にいい人で普通の人達なんですよ。
それなのに………


それなのに、あの人達の視界には、まるで私達の存在なんて、入ってなくて。
(5巻 P159)

舞台は架空のMMORPG
廃人プレーヤーを再ログインの気力を奪うまで(ゲーム内で)殺し続け社会復帰を促す「戻し屋」を生業とするトルクは、奇妙な依頼を受けることになる。
それは「『動物園』と呼ばれるプレイヤー団体を護衛すること」


心に傷を抱えた者達のオンラインカウンセリングによる互助団体として発足した『動物園』だが、リーダーが現実世界で殺人を犯し逮捕されたことにより他のプレイヤーからのバッシングを受けていたのだ。
物見高い野次馬プレイヤー達の干渉から離れ、静かに暮したいという住人達の依頼に応えるべくトルクは『動物園』へ赴くが…






えらい面白かったので昨日の晩で5巻まで一気に読破。
この漫画、ほぼ全編がネットゲーム内の描写のみで構成され「現実」の情景を描いたのは1話と4話冒頭で主人公トルクがゲーム用インターフェースを身に着けるたった数ページのみです。
が、それでいてどうしようもないほど「現実的」なんですよね。


そもそもの発端が殺人犯を出した『動物園』への一般プレイヤーの心無い干渉行為ですし、『動物園』がネットゲームへのバッシングを誘発させているとして、「良心的」なプレイヤー達がゲームの社会的イメージ向上のために『動物園』とそのメンバーの抹殺を試みるとかもうね。


舞台をネットゲームにおいているとはいえあくまでも舞台設定、散々語られる人と人の信頼関係やらコミュニケーションのあり方やらが本来のテーマでしょう。
現実世界での素性を確かめることもかなわず、演じるキャラクターとしての発言が全てであるネットゲーム内の関係だからこそ真の信頼関係を構築することが問われるということですね。


序盤は異常に詰まったコマ割とやたら多いフキダシの数、誰を指しているのか判らない人称代名詞に細かすぎる描き込みで本当に読み辛いんですが、3〜4巻辺りから良い意味で力が抜けてきていてだいぶ読みやすくなると同時にお話も面白くなってきて実に良い感じ。