偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

マルドゥック・ヴェロシティ(1)

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・スクランブル-09は、本日を持って完全なる実働体制に入った。
我ら12人のメンバー、および法曹界と法執行機関の強者2人によって。
諸君、この都市の最底辺へと階段を降り、最上階をも震え上がらせる激動をもたらそうではないか。

前作「マルドゥック・スクランブル」で最強のライバルとして君臨した"徘徊者"ボイルドの過去を描く物語。
「自分に働く重力の方向を変化させて壁や天井を歩ける」ボイルドの能力を「〜スクランブル」で目にした時は仰天したものですが、本作で登場する残りの11人も負けず劣らずのトンデモっぷり。
1巻ではそんな異能者達が一丸となり悪徳溢れる都市で「正義の味方」として活躍し出すまでを描きます。


「マルドゥック・スクランブル」から一変した、一部分だけ取り出したら悪文の見本としか思えない体言止めとハイフン・スラッシュを多用した独特な文体はとっつきにくい事この上なかったです。
が、いったん慣れてしまうと余分な記述の一切をそぎ落とした異常なまでの疾走感がたまらなく思えてくることも確か。

09メンバーが最終的にボイルド一人を残して壊滅することは時系列的に後である「〜スクランブル」の内容から明らかなわけで、確定された破滅に向かってフルスロットルで突っ走る物語がどんな終着点を迎えるのか読み進めるたびに不安に駆られるような妙な気持ちでした。