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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

マルドゥック・ヴェロシティ(2)(3)

マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)


マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)

こいつは言うなりゃ都市を相手にしてるようなもんだ。
このマルドゥック市が、09を食い殺しにかかってるのさ。

街に巣食うマフィア、街を牛耳る巨大企業、そして味方のはずだった検察組織。
あまりにも圧倒的な「都市」の力の前に一人、また一人と斃されていくスクランブル-09メンバー達。


スクランブル-09として証人保護業務に携わることによって自らの「有用性」を証明し、心を満たす虚無を少しづつ癒していった主人公ボイルドが陰謀に絡め取られまた虚無へと堕ちてゆく終盤の展開は陰鬱の一言。
とにかく恐ろしい勢いで登場人物が死んでいき、ラストで生き残っているのは数えるほどでは。

が、それでも読ませてしまう熱さと勢いは流石と言うほかありません。
時系列的に後である「マルドゥック・スクランブル」でライバルとして登場したボイルドが何故あそこまで空虚な人間なのかというのをこれでもかというくらい描いてくれます。


SF的ギミックを用いた改造人間同士の能力者バトル的要素、都市の裏側でうごめく陰謀を捜査し巻き込まれる刑事ドラマ(?)的要素、心に虚無を抱えた男が信頼すべき相棒と運命の女に出会い癒され、そして失意のもとにまた虚無へ堕ちるハードボイルド的要素。
これら全てが高いレベルで違和感無く融合した実に面白い(あくまでも「楽しい」ではないことに注意)お話でした。