偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「夢の金属」なんてものは無いんだよ

「ヴィザーズ・ブレイン(1)」を読んでいて、「強化タングステンのフレーム」という記述に思わずツッコミを入れる俺。
強化タングステンタングステンカーバイド(もしくはタングステン基合金)なんてあんな硬くて整形しにくいものをわざわざ構造材に使わずとも良いものを。
が、冷静に考えればきっと「タングステン」という日常にはなじみの無い材料を使うことに意味があるんでしょう。

というか、読み返すと作中に出てくる金属がチタンとタングステンだけなのでこの人それしか知らないんじゃないかという疑惑が頭をもたげてくるんですが今回そこはスルー。

特性がどうこうというよりは、未来技術を使った凄い材料ということで強化タングステンやらチタン合金やら言っているのではないかと。


こういった「夢の金属」といえばチタンが一般的なイメージがありましたが、いまはタングステンも流行っているのかな。
「強化チタン[合金]」「強化タングステン」などのキーワードで検索してみると、真っ当な論文などに混じっていろいろとアレな記述に行き当たって幸せになれることうけあいです。
一番困惑したのは某所で見た「強化チタン製の鉄鋼」というフレーズでした。鋼なのかチタンなのかはっきりしようよ。

他にもとりあえず「チタン合金製」「強化タングステン製」と言ってみたかっただけだろとしか思えないものが満載。
おまえらチタンとタングステンに夢を見すぎだと思います。


おそらく最も有名な架空材料であろう「ガンダリウム合金」の設定のガチっぷりにはその筋の人が設定過程に参加しているとしか思えませんが、これだけ頑張っても微妙なツッコミどころは残ってしまいます。
(そういえばこれもチタンベースの合金でしたね

そろそろ特定の元素をとりあげ「従来より優れた凄い材料」の根拠とする方法はそろそろ限界に近づきつつあるのではないかと。
チタンなど今やゴルフクラブのヘッドにすら使われている材料ですからね。


それよりは、「従来より優れた凄い方法」(それこそ魔法でもナノテクでも何でもよし)で成分や結晶構造、組織を調整してあるから優れているんだ!!  というほうが説得力も設定上の自由度も上がって良いのではないでしょうか。
材質自体はありふれたものなのに特殊な処理を受けたお陰で普通とは違う特性を持つようになったって燃えませんか?
そしてそんな特性○○には無い、と批判を受けようが「魔法で組織制御してるから大丈夫なんです」とか言ってれば無問題!素晴らしい!