ヨイコノミライ
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自分の可能性を信じて、自分にはまだ出来る事があると夢見て、まだ見ぬ未来を期待する。
そのときが一番楽しいんだって、
夢のあとには何があるかなんて、
このときの僕には、まだわかってなかったんだ……
あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛(a-parkさんは昔のトラウマを刺激されているようです)
大学サークルと高校の漫画研究会という差はあれ、同じヲタサークルを舞台にした人間模様物語ということではかの有名な「げんしけん」と通じるものがある「ヨイコノミライ」
が、「げんしけん」が癖の強いお酒を何かで割って飲みやすくした万人向けのカクテルとすれば、この作品はストレートで飲む……どころか蒸留前の原酒。癖が強いとかそういうレベルじゃねーぞ。
ヲタ連中の負の面をオブラートに包むことなく正面から描いたキャラクター描写やストーリーは万人向けとはとても言えません。
Web上で1話が公開されていますが、冒頭数ページを読むだけでもこのお話の「痛さ」を存分に味わうことが出来るでしょう。
序盤はとにかく痛い連中が痛い事してるばかりですからね……
ヲタなら何かしら彼らの行動に身につまされることがあるのではないかと思います。
なかでも消えない過去の過ちスレや合宿所スレ辺りで登場するアレな行動の全てを一人の人物に濃縮したかのような霊感少女気取りの腐女子の平松(4巻表紙の眼鏡の娘ね)の言動は あ ま り に も 痛 す ぎ 見てるのが辛いです。
が、そんな内容でいながら
「才能もなく努力も知らず挫折もせず、甘からず、辛からず、旨からず、ただ自分たちの世界でダラダラしているオタクサークルの人が自己実現など達成できるわけがない。というのが一応の作品のテーマです。耳がずきずきしますね。
とあるように「夢を追う人たちの自己実現のお話」として万人向けに成立してしまっているのが凄いところ。
甘えの全く無い、残酷なまでの描写はへたな「青春物語」を遙かにしのぐものがあります。
常識知らずで他人の気持ちを慮ることの出来ないヲタク達だからこそ、夢を追い夢に破れる過程での葛藤やらなにやらをストレートに(それこそ「痛い」行動で)表現できるのですよ。
紆余曲折はあったけど前に進むことが出来てよかったねという展開のあとに、(本人の認識上だけは)とっても幸せそうな平松を持ってくるラストの流れは「何の努力もなしに夢を叶えられると信じていたおめでたい人たち」の末路を冷酷に描くという意味では最高に成功していると思います。
あまりのことに読了後しばらく呆然としてしまいましたが。
違う意味でヲタ万人にお薦めですよこれ。読んで登場人物たちのイタタな言動に身につまされ悶えましょう皆さん。
あと、部員皆のトラウマを刺激して人間関係を壊していくサークルクラッシャー青木杏の邪悪ヒロインっぷりが素敵すぎ。
杏の引っかき回しによって起こった三角関係とか電波妄想とか漫画の腕への嫉妬とか何やらで漫研内の人間関係がものすごい勢いで崩壊していく後半の展開はドロドロ人間劇好きにはたまらないものがありました。
彼女の可愛らしい態度のどれが演技でどれがガチなのか描写から読み取ろうと努力してみるのも一興ですね。
主人公に対する態度だけはホンモノであとは全部演技だと最初は思いましたけど、読み返すと結局全部演技なんじゃないか……というよりそもそも本人にも演技なのかそうでないのか区別がついてないのではないかという気もしてきます。