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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

犬はどこだ

感想

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

何か自営業を始めようと思ったとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。
しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。
そこで調査事務所を開いた。


この「紺屋S&R」が想定している業務内容はただ一種類。
犬だ。犬捜しをするのだ。

挫折のうちに故郷に舞い戻り、社会復帰のためのリハビリとして調査事務所を開いた主人公。
犬捜し専門のはずが解説初日から舞い込んだ依頼は失踪人の捜索と古文書の調査。
さしたる熱意も持てないままそれらの依頼を受けた主人公だったが……



平穏無事な一生を送ることを至上命題とする主人公紺屋の姿は、「愚者のエンドロール」や「春期限定いちごタルト事件」等の米沢穂信の他作品の主人公たちとも通じるものがあります。
が、あちらが未だ社会に出ていない少年達なら「犬はどこだ」の紺屋はいったんはそれを目指しながらも訳あって挫折した大人の男。


そんな彼が事件に関わることによって昔の情熱(?)を取り戻すという、ある意味では恐ろしく真っ当な「探偵小説」してるお話でした。
読み始めの印象ではそういった方向に進むとはとても思えなかったんですけどね。

全く関係ないと思われた二つの依頼がリンクして行き一つの真実を指し示すと同時に、主人公の内面的変化に繋がっていく展開はなかなか見事。
歴史ネタとしては興味深いけどそれ以上のものではないと思っていた古文書の内容が、実はかなりの影響を主人公に与えた上にミステリとしての物語においても重要なキーになってくるのは感心しましたよ。


あと、どうでもいい話ですが内容に犬がほとんど関係してなくてちょっと笑った。まさに「犬はどこだ」