- 作者: J.C.ポロック,沢川進
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1986/02
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
少なくとも、相手の出方は予測できる。
プロの動きは予測できるんだ。全てをぶちわしにするのはアマチュアなんだよ。
これ、自分達を殺す気満々のKGB*1特殊部隊12人の「動き」を初めて目にして主人公が相棒に告げる台詞ね。
というわけで、「樹海人魚」のショックを癒すべく読んでいた「樹海戦線」読了。
「『樹海』戦線」というのだから樹海の中での戦いが延々と続くのかと思っていたら樹海を舞台にするのはクライマックスのKGB12人VS主人公&相棒だけで、それ以外の部分のほうが長いんですね。
中身と言えばとにかくもう主人公スレイターのワンマンアーミーっぷりが素敵過ぎる。
いくら「グリンベレーでした」と言っても限度があると思うんだ。
いきなり冒頭で自動小銃で武装した殺し屋8人とナイフ一本で相対して7人倒して生還するような人ですから。
が、そういった結果だけ見ると荒唐無稽な活躍なのを読んでいる最中は何も不思議に思わせない描写力はたいしたものだと思います。
著者はもちろん訳者もいいんだろうなぁきっと。
ラストも単純な「ヒーローが敵を倒してハッピーエンド」ではないのも秀逸。
敵味方全ての人生を決定的に変えてしまったベトナム、そして彼らをそこに送り込んだ政治。
どんなに奮闘しようが結局のところはそれらから逃れられず、絡め取られてしまったとでもいうべき結末はそれまでの戦闘シーンの描写同様に「現実的」で物悲しいものでした。
*1:懐かしいね!!