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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

クジラのソラ(1)

クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)

クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)

突然襲来し、瞬く間に地球を支配した異星人たち。彼らの課したのはたった一つのシステム<ゲーム>
各国政府の国を挙げての振興策のもと、人類は<ゲーム>に熱中した。


かつて世界最高のメカニックと謳われながらも、<ゲーム>の中で覗いた闇の深さに怯え全てを投げ出した主人公。
消えた兄の面影を追い求め、がむしゃらに<ゲーム>に打ち込む少女桟敷原雫。
たとえ二人の出会いが全て仕組まれたことであっても、その胸に灯る情熱だけは本物で。
日本大会、ワールドグランプリ、その先に待つ宇宙。はるかな高みを目指しチーム「ジュライ」は進み続ける──

いつもこのblogを見てくれている皆様ならとうの昔にお分かりでしょうが、俺が抜粋でなく自らあらすじ紹介文を考えて書いてしまう時というのはそれだけのものだったということ。
というわけでこの「クジラのソラ」(1)、最高に面白かったです。


宇宙人とかSF的な舞台設定だと思わせておきながらも、その中身はガチのチームスポーツもの。

プレイヤーとしては三流もいいところでもサポートとしてなら世界最高クラスの主人公、両親を<ゲーム>の中で奪われそれでも<ゲーム>に魅せられ楽しみ続ける冬湖、なにもかもそつなくこなせるがゆえにどんな分野でもその道の一流には敵わない雫、戦術も性格も直情径行だけどその素直さからチームのムードメーカーの智香。
チームメイトそれぞれのプレイヤーとしての性質の違いと性格付けを絡めて中々上手にキャラを立てていると思います。


確執と和解、勝ち負けではなく<ゲーム>そのものを楽しむということなどがメインになってくる筋立てはまさにそこらのスポーツもののお話顔負け。

そして隠された<ゲーム>の真の姿、<ゲーム>優勝者を出した国家に異星人から与えられる技術供与を巡って暗躍する者達といった「スポーツの汚い面」も同時に裏で進行しているのが深みを与えています。


また、<ゲーム>そのものについては詳細すぎる描写を避けているのも試合シーンのテンポを良くし、読みやすくするのに一役買っているかと。
宇宙を舞台に艦隊戦を行うある種のRTSリアルタイムストラテジー)なのだろうというところまでは判りますけど、かなり漠然とした描写しか行われていません。

それが逆に想像の余地を大きくし、読む人それぞれの<ゲーム>の姿を抱かせることによりそういった部分で違和感を感じさせたりしない事に繋がっていると思います。
お陰で<ゲーム>に対する各人の精神的接し方の描写に集中できるといいますか。


・・・だから「スポ根」なんですよね。テクニックではなく根性で勝つ、そして其のことに違和感を感じないw