海防艦第二〇五号海戦記―知られざる船団護衛の死闘 (光人社NF文庫)
- 作者: 江口晋
- 出版社/メーカー: 光人社
- 発売日: 2007/01
- メディア: 文庫
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俺は微妙に最貧戦・末期戦属性持ちなのでその手の戦史書を偶に読むのですが、そういった書籍に登場する部隊名や艦名で見た時点で「これはやばい」とすぐに判るものがあります。
海軍なら「海防艦」「駆潜艇」「特設〜艦」等の駆逐艦以下の艦艇、それもきちんとした艦名が付かずにナンバーが振られているだけのもの。
陸軍だと「独立〜」「混成〜」などと通常の編制では無い接頭辞が付いていたり、逆に「突撃〜」等の勇ましい名前が部隊名の上に付いているのは大方名前とは裏腹に弱かったり。もちろん例外も数多くありますけどね。
さらにナンバーが振られているものは出来るだけ数字が大きければ大きいほどアレっぷりが加速します。
なので、「独立混成戦車駆逐突撃第105大隊」*1なんて部隊名はもう最悪。
配属を言い渡されたらその時点で死を覚悟したほうが良さそうです。
そしてこの「海防艦二〇五号」もその名から連想されるとおりのもの。
タイトルでは「死闘」なんて書いていますが基本的にやられっぱなし。
まず進水したのが戦争終結1年前の昭和19年ですし。
が、そんな対空兵装の貧弱な海防艦でいながら香港・高雄・室蘭と三回停泊中に大空襲を受けて一人の戦死者も出さなかったというのは驚き。
もちろん努力もあるのでしょうが、著者も書いて居るとおりここまでくるとある種の神がかりだよなぁ。
基本的には著者個人の回想録なのですが、出来る限り公刊戦史や他の書籍・証人にあたって自分以外の視点を導入しようしているのには好感が持てました。
お陰でこの手の回想録に良くあるただ自分の思い出(それも多分に主観の含まれたもの)をつらつらと書いていくだけの物とは一味違うものになっていると思います。
*1:今考えました