偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

円環少女(6)

円環少女(サークリットガール)〈6〉太陽がくだけるとき (角川スニーカー文庫)

円環少女(サークリットガール)〈6〉太陽がくだけるとき (角川スニーカー文庫)

シリーズ物のお話が巻を重ねるうちに「化ける」のはままあることですが、今まさにその飛躍の瞬間を見ている気分です。
正直言うと1巻を買ったときにはここまでのものになるとは全く予期していませんでした。


「罪を背負いこの世界に追放された存在」であるからと言って、年端も行かない少女を死地に追い込むのは果たして「正しい」ことなのか。
そして自ら彼女を管理し監督しを死地に送り込み人殺しをさせる立場にありながら、彼女とかりそめの平穏に浸る主人公の行動をただの偽善と斬って捨ててよいのか。


この辺りの矛盾と葛藤が本作を貫く大きなテーマなんですが、そもそも主人公とヒロインの立ち位置自体が矛盾の塊のようなものの為これまで抜本的な解決に至ることはありませんでした。
が、今回はこれまでなんとか主人公周りの平穏を保っていた危うい均衡を大きく崩す事態が発生し、今後どうなるのか全く予断を許さない状況に。
5巻の感想の際にも書きましたが、あと2〜3巻くらいで終わるんじゃないだろうかこれ。


そして社会から排斥された「魔法使い」たちの人類に対する闘争、そして海外帰りの元学生活動家テロリストによる東京をターゲットにした核テロ、さらに核奪還を目指すものたちと各勢力が終結し一大決戦を繰り広げる今回はバトルものとしても実に秀逸。

名勝負が多すぎて書ききれないくらいなんですが、個人的にはVS王子護ハウゼン戦が展開の無茶っぷりを含め一番でした。 
32人分裂プラズマ攻撃は何回見ても反則だと思うんだ。そしてそのとどめの刺し方はあまりにも予想外。



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もともとは「魔法消去」といった世界設定の部分に惹かれて読み始めたシリーズだったのに、気が付けば展開それ自体を楽しんでいると言うのは同じく「魔法使い」のお話であることを含め「ウィザーズ・ブレイン」シリーズに対する俺の態度と重なりますね。