- 出版社/メーカー: Carnival
- 発売日: 2007/11/22
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先週からちまちまとプレイし続け、せっかくだから(略)大きい順メソッドに従い病弱お嬢様でギター担当な「樫原沙理奈」ルート終了。
一言で表現すれば実に良い青春バンド物語でした。こいつはいい。
練習してライブして演奏旅行して旅費を稼ぐために旅先でバイトして、長時間一緒に過ごしているうちに何となく好きになってたとでも言うべき展開はある意味凄くリアル。
何か劇的なイベントがあるというわけでは無いんですが、普段のちょっとした描写がとても細かいぶん違和感といったものは全くなし。
沙理奈の「病気」の話や家庭事情の話なんかが日常離れしているのを上手く中和しているとも言えるかもしれません。
「おとなしいけど芯の強いお嬢様(+病弱)」というかなりベタな造形を、特別な追加要素無しにそのまま押し切って魅力ある物としているのは本当に上手いです。
というか終盤の沙理奈がちょっと可愛すぎて(俺が)死にそう。
また、全体で目に付いた部分といえば、切り捨てるべきところは本当に大胆に捨てる構成の妙には感心していまいました。
パンクバンドを組んでの演奏旅行というストーリー上、主人公達第二文芸部バンドが演奏を行う機会はかなり多いのですが学園祭やオリジナル曲の初演奏、最後のライブといった本当に重要なシーン以外は「演奏した」程度の数行の文章描写で終わり。
このタイミングで描写をこれだけで流すのか、と初めは驚くこともありました。
他にも「バンドもの」のお話をやるにあたって重要であろう上達・練習過程は相当に省かれています。
しかし終えてみて思うのは、きっと大切なのは音楽やライブ自体ではないのだということ。
あくまでもバンドを組んでの演奏旅行というのは手段であり、色々な世のしがらみを振り切って自分達のやりたい事へ突き進むというその姿勢こそが大事なのかと。まさに青春物語ですね。
その点、彼らが選ぶジャンルが社会への反抗を歌うパンクロック*1であるのは必然といえるでしょう。
訳あって恐ろしく老成して内省的な人間、悪く言うと格好付けな奴である主人公もいい味を出していました。
作中の文章のほとんどを主人公のモノローグが占めているのですが、そこでの一人称が「僕」なのに対して実際の喋りは「俺」な辺りからもどんな人かうかがえます。
感情に流される事を恥じ常に斜に構えて世の中を見る彼が、ひと夏の経験を経て真っ当な青春野郎になっていくのは見ていて気持ちの良いものでした。
……でも、沙理奈ルートラストでの「じゃあ、これ着てよ」からの流れには盛大に噴きましたけど。直前までいい話だったのに感動ぶち壊しだよ!!
ちょっと自分に素直になりすぎ。
前回同様にOPを貼ってみる。作品の内容を実によく表したムービーだと思います。
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キラ☆キラ - プレイ開始 - 偏読日記@はてな
*1:作中の彼らが「正しいパンクバンド」かどうかは別として