機動戦士ガンダム MS IGLOO
劣勢の国、戦況挽回のため投入される新兵器、それを運用する一癖も二癖もあるパイロット達と技術に賭ける技術屋たち。
松本零士「ザ・コックピット」をガンダムの世界でやったのがこのMS IGLOOだなんて感想をどこぞで見かけましたが、まさに言いえて妙。
負けかけの国で、自らの意地と誇りで運命に抗う男達の物語です。
とにかくもう末期戦スキーにはたまらなさ過ぎるお話でした。俺の見たかったガンダムがここにある。
……いや、身も蓋も無い話をしてしまうと、本来は無味乾燥な大量生産の工業製品たるべき兵器でそういった「お話」が作れてしまう時点でその国/軍隊はもう駄目なんですけどね。
衛星軌道から再突入→成層圏上層で打ち上げ途中の敵艦迎撃→攻撃後は輸送機に空中回収される というプロセスが斬新な「ジャブロー上空に海原を見た」のゼーゴッグが一番好きです。
なにより、ズゴックが空飛んでるよという見た目のインパクトの前に全てが吹き飛ぶ。あれはやばい。
全体の流れも、最初は「新兵器の試験」だったのが、話が進み戦況が悪化していくにしたがって「ワンオフの試作兵器でとりあえず戦果をあげろ」とでも言うべき任務内容に変化していくのがまた切ないです。
ラストなんて「評価試験」なんてもうただの名目で、とにかく使える戦力は全て使えとでも言うべき状況で試作機ごと戦場に放り込まれてるだけ。
運用するのも「学徒動員の少年兵を載せる簡易型戦闘機」とかもうね。それなんてHe162
結局のところ毎回上手く行かないので、物語としての爽快感とでも言うべきものはほとんど無いため万人にお薦めと言うわけには行きません。
が、だからこそ語れるものもあるのではないかと思う次第。