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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

機械化騎兵奇譚 201X

生存報告 - 武蔵野回廊 - 遁走義勇軍

米軍は早急にこれを量産してイラクで騎兵突撃を敢行するべきだと思います。

2008-03-20 - 武蔵野回廊 - 遁走義勇軍

上記の映像を見て俺がTwitterに投げた感想。

昔の軍隊が馬匹輸送に全面的に依存していたように、未来の軍隊は BigDog みたいなロボ馬に輸送任務を担わせると妄想
BigDog 数匹が野砲を牽引してるとか最高に萌える

Twitter / a_park: 昔の軍隊が馬匹輸送に全面的に依存していたように、未来の軍隊は ...

そしてid:kanabow氏の

2070年くらいになったら伝統のコサックBigDog騎兵とかが出現する。

Twitter / kanabow_tw: 2070年くらいになったら伝統のコサックBigDog騎兵とか ...

このpost辺りをきっかけに「BigDog騎兵」と言う妄想が頭から離れなくなる俺。


最後のとどめは 悪夢 201X - 武蔵野回廊 - 遁走義勇軍 の自動戦闘機械描写。
こいつらに向かってBigDogを突撃させれば良いのではないか? と思いついた瞬間が最後でした。

と言うわけで、ガイアが俺にもっとBigDog騎兵が騎兵突撃をかます話を書けと囁くので実際に書いてみたよ。


本稿は 悪夢 201X - 武蔵野回廊 - 遁走義勇軍 の設定を元にしています。
こちらも是非一読をどうぞ。

「機械化騎兵奇譚 201X」


硝煙の匂いと砲声が支配する街のはずれ、爆撃によって半壊した運動場のトラックに自らの『馬』を連れて彼らは降り立った。

「情報幕僚、状況は?」

「前方5km地点で包囲されているのは増強大隊規模の友軍です。15分前に連絡が途絶して以来、通信は回復していません。
現在は偵察UAVよりの情報待ちです」

指揮官らしきの男の問いに、傍らで通信機に接続したノートPCに向き合う女が答える。

その後ろでは輸送ヘリから兵士達と共に、偽装ネットを被せられたドラム缶大の物体が次々と降ろされていく。

「……本当に上手く行くのでしょうか?」

「上手く行かなくては困る。そのために我々が編成されたのだからな」

部下の問いに答えながら指揮官──コズロフ大尉は一人ごちていた。
(虫どもめ、お前達が何時までも戦場の支配者で居られると思うなよ?)


『虫』───戦闘用小型自動機械たち。
個々の戦闘能力や情報処理能力は低くとも、群知能による情報処理能力と知覚能力、そして死を恐れないその戦いぶりに「人間の軍隊」が脅かされるようになって久しい。

コズロフの属する軍隊も『虫』に煮え湯を飲まされたうちの一つだった。いや、今も煮え湯を飲まされ続けていると言った方が良いかもしれない。
現に今、治安維持のためこの街に駐屯していた友軍が、地元ゲリラを支援する某国が投入した『虫』の大軍に包囲され全滅の危機に瀕している。
捕虜を取る、退却するといった人間的思想を持たない『虫』との戦闘は、それと戦う人間の歩兵部隊に勝敗に関わらず常に圧倒的な大損害をもたらしていた。


「各員、『馬』起し方はじめ! 自己チェックルーチンでエラーが出た奴は無理をするな!5分以内に突撃隊形を作る、間に合わない奴は置いていくからな!!」

コズロフの号令で横たわる塊から偽装ネットを剥ぎ取り、始動キーを差し込む兵士達。

そこかしこで立ち上がる4本脚の物体、確かにそれは『馬』と呼ばれるに相応しい形状をしていた。
頭も尾も無く、甲高いガソリンエンジンの排気音を立てていることを除けば。

「1番脚、2番脚、3番脚、4番脚異常なし、続いて胴体フレーム疲労検査……OK」
「姿勢検知センサー補正開始……補正終了。誤差0.003°許容範囲内」
「走行プログラム 市街地A1に設定」

携帯情報端末を尾にあたる部分に繋ぎ、兵士達がチェックリストを読み上げていく。

既に準備を済ませた自らの『馬』にまたがり、彼らに声を掛けて回るコズロフに対し情報幕僚が叫んだ。

「大隊長殿、UAVからの偵察映像きました!現在送信されたものを解析中…結果出ました。事前偵察通り、南西方向の包囲網が一番薄くなっています」

情報幕僚の報告と共に自らの携帯情報端末に転送されてきた空撮映像を眺めるコズロフ。


「よし、事前計画どおり45号線を北上、包囲の薄い部分を突き抜けて友軍部隊との会合を目指す。
騎兵砲中隊は突撃開始後120秒で煙幕射撃開始、それと同時に電子戦班は電波・光・有線全てに対しジャミングを行え。『虫』を後方で操作している人間から切り離すんだ。それと……」

彼が一連の命令を終える頃には、『馬』を起こし終えた兵士達が突撃準備隊形をとり整列をし終えていた。


整列した騎兵たちに向かい、コズロフが訓示する。

「では、諸君。騎兵隊のお出ましとゆこうではないか。残念ながら我々の助け出すのは麗しのご婦人方ではないがな」

失笑が収まるなり、彼は命じる。

「突 撃 開 始 ! ! 私に続け!!」

叫び終えると同時に『馬』をトップスピードに入れて走り出すコズロフと、その後を銃剣を装着したカービン銃を構え、異形の馬にまたがり廃墟の街を疾駆しだす兵士達。
古代の戦場で勝敗の行方を決した重騎兵、威風堂々たる彼らの突撃はその末裔なのかもしれなかった。



道路を横切り、水路を飛び越え、交差点を曲がり、瓦礫を乗り越え騎兵たちが走る。
機械の『馬』にしかなしえない路面状況を無視した猛烈な疾走で、数分で先陣は戦闘機械群の包囲陣の外縁に到達した。

「人間」を認識し攻撃することだけに最適化されたセンサー群が、密集して突入してくる大量のガソリンエンジン音を捉える。
車両の如き音響パターンを発しつつも、4足歩行で移動するそれは『虫』達のデータバンクには存在していなかった。
物体上の赤外線放射パターンは人間の上半身のみに酷似。
通常なら体表面の20%以上を失った放射源には戦闘不能判定を下す『虫』達の群知能は、その放射源たちが銃らしきものを所持し攻撃行動を取ろうとしていることで更に混乱した。

ジャミングによって操作オペレーターから切り離され、自らの判断のみで行動することを要求された群知能が協議の結果出した答えは「解析不能」 その結果として起こったのは、一瞬の空白。

騎兵たちにとって、その一瞬さえあれば十分だった。


「雑魚相手に弾は無駄にするな! センサーを潰せばそれで十分だ!」

進路を塞ぐ『虫』を蹄で踏み潰し、胴体で弾き飛ばし、銃弾で胴体を打ち抜き、銃剣でセンサーを刈り取り。
混乱のさなかを騎兵たちは駆け抜ける。

混乱により動きの止まった『虫』に対し、遮蔽物の陰に潜んでいた歩兵部隊も射撃を開始した。

騎兵たちが突入してから十数分後には、包囲網には確固とした穴が空けられていた。



歩兵たちの中から歩み出てきた男に対し、コズロフが馬上から声を掛ける。
「第一機械化騎兵旅団第一大隊、コズロフ大尉だ。貴官がここの指揮官か?」


「いかにも。……噂には聞いていたが、アレがあの『馬』か。まさか『虫』どもの包囲をこんな簡単に突破することができるとは」


「なぁに、奴らにとってこの『馬』は人間ではないからな。攻撃対象にならないというわけだ。
では、ここから5km先の旧運動公園にヘリが待機している。『虫』がジャミングと我々の突撃で混乱している間に撤収の準備を」


「了解した。君達は車両を連れて来ているのか?負傷兵を後送したいのだが」


「私らの『馬』を使ってくれ。こいつの最大積載重量は150kg以上ある。負傷者を背負うなんて朝飯前だよ。
では、私は奴らの逆襲に備えて周辺警戒に出る。撤収についてはそこの幕僚と打ち合わせてくれ」

そういい残すと手近な部下をまとめコズロフは走り去って行った。



『虫』そしてそれに対抗するための『馬』
新兵器には対抗するものが現れるのが戦場の必然である以上、『馬』にもいつかそれに対応したさらなる新兵器が現れるのだろう。

そんな奇怪な機械どもの支配する戦場、そこに生身の人間の存在する余地はあるのだろうか。
いかにも騎兵らしいコズロフの姿を眺める歩兵指揮官の頭をよぎったのは、そんなセンチメンタルな感傷だった。

「人の姿をしていなければ人と認識されないはず」という無茶すぎる論理が酷すぎ。
……というか、いくら頭を捻っても近代戦で騎兵突撃の活躍するポイントが思いつかなかったんですよ。
やはりロボ馬は輸送用に使うのが一番ですね。


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