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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

ツンデレ増量、政治劇もちょと増量 - 「葉桜が来た夏」(2)

感想

「──本当にお前が誰も巻き込みたくないなら、お前はそのために全力を尽くすべきだ。防衛省も<秋>もそのための駒でしかない。


なあ星野、柄にもなく悲劇のヒロインぶってる暇があるなら、あいつらをを上手く利用してみろよ。
そして奪い取ってみろ。お前の居場所を、お前の理想を」

葉桜が来た夏 2 (2) (電撃文庫 な 12-2)
葉桜が来た夏 2 (2) (電撃文庫 な 12-2)

琵琶湖に突き刺さる「十字架」と、それに乗って到来した女性型異星人”アポストリ”。彼女達と人類の混住のため設置された彦根居留区、その中で行われる人ア融和の為の「共棲」システム。
定めに従い、「共棲」という名の共同生活を行う主人公とヒロインという設定から想像される恋愛方面の展開の斜め上を行き、それ以前の段階である異種族間理解に重点を置いたお話だったのが「葉桜が来た夏」の1巻でした。


……が、逆に人物が弱いと言うか、キャラが世界観負けしているように感じるのもまた事実。 そういった世界観やなにやらは全てうっちゃって、むしろ徹底的に「葉桜かわいいよ葉桜」 つまりキャラクターの魅力で押し切ってしまえばよかったのでないかと言う気もしてなりません。ツンデレ女性型異星人とミステリアスな小動物系クラスメイト、過去にトラウマを抱えた主人公の組み合わせでラブコメでもやればいいんだよ!!


1巻の感想記事で上のように書いたとおり、どっちつかずの感があったのもまた確か。そこで2巻ではどうなるのやら、と読んでみれば一転だいぶラブ寄りになった物語がそこに。
ただの共棲関係とは異なり、主人公と葉桜の二人が日本政府の人ア融和政策を象徴するカップルになってしまっているためラブコメだけにかまけている訳にはいきませんけど。


もう一人のヒロイン星野友深の「防大の国際関係学科戦史専攻」という設定が全く生きていない、登場回数の割に敵役の印象が本当に薄い等々いまだキャラが世界観負けしている感は強くても、政治劇と萌えが両方ほどよく増量されていって居るのでこのペースで進んで言って欲しいもの。
とかく俺は「人間と亜人が混住している世界観」が好き過ぎ、その点では十分に及第点は付けられているので。
巻を追うごとに主人公と葉桜が政治的存在として祭り上げられていっているので、この行き着く先の最後は世界を取るか女を取るか、すなわち人ア融和の象徴として生きるか目の前の葉桜を選ぶかの選択になりそうな気がしてならないです。


だがここで1巻を読んでいるときには全く気にならなかった、アポストリ達のあまりに人間的な姿に今さらながらに違和感を覚えてしまったり。「人類社会の中の異物としてのアポストリ」を詳細に描けば描くほど、逆説的に彼女達が少々力が強くて身体が頑丈な少女にしか思えなくなってきます。
まず「葉桜」「末莉花」「鶺鴒」「灯籠」「十六夜」等々の彼女達の名前や、アポストリを構成する四氏族が<春>(プリマヴェーラ)・<夏>(エスターテ)・<秋>(アウトウンノ)・<冬>(インヴェルノ)だなんてあまりにもあまりだ。 お前らの故郷は日本かイタリアか。