読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

最近の読書あれこれ(2009年1月〜2月編)

感想

個別の感想記事を書かないまま、机の上に積み上げるままにしていた読了本があまりにも多くなってきたので一括で感想記事を書いてみます。


渚にて―人類最後の日 (創元SF文庫)
渚にて―人類最後の日 (創元SF文庫)
去年あたりから進めている、タイトルだけ知っている過去の名作SFを少しずつ読み進める計画の一環として購入。

核戦争による人類滅亡を扱った話だとは知っていたものの、手に取ってみて作中のあまりにも静かすぎる「人類の週末」に背筋に寒気が。
登場人物すべてが最後の最後まで見かけの上では平静を保っているのが逆にとても怖いです。迫り来る放射能という現実から目を背け、次第に観念の世界に生きるようになっていく彼らにはある種の狂気すら感じました。



ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

病気になることも、生きることも、もしかしたら考えることも。むかしは自分自身のものだった。自分自身のものでしかあり得なかった多くのものが、経済の流れの中で外にお任せになっている。

なら、私はオトナになりたくない。このカラダはわたしのもの。わたしはわたし自身の人生を生きたいの。お互いに思いやり慈しむ空気に絞め殺されるのを待つんじゃなくってね。

「健康で文化的な生活」を送ることが全てに優先される高度医療化社会の息が詰まるような姿は、もうそれだけで素晴らしいディストピアSF。
最高のしあわせが実現された、最低の地獄がそこにあります。ちょうど病院の待合室で本作を読んでいた俺が全てを投げ出して走り出したくなるくらいでした。
自らの身体が社会に所有されるものとなることを拒む少女性というテーマと、そんな息苦しさに溢れた世界は完璧にマッチ。
世界を揺るがす事件を描きながらも、どこまでいっても主人公と自殺したその親友の個人的関係に帰着させてしまうその潔さもまた良し。
これからも伊藤計劃を追いかけていこうと思わせてくれた一冊でした。



ウィザーズ・ブレイン〈7〉天の回廊〈中〉 (電撃文庫)
ウィザーズ・ブレイン〈7〉天の回廊〈中〉 (電撃文庫)
「魔法士」誕生秘話も明かされ、いよいよ結末へ向け物語が加速。これは10巻15冊くらいで完結でしょうかね。
対立する各陣営に別れていた主要登場人物たちが利害を乗り越え、協力して一つの目標を目指しだすのはそれだけで感慨が。ここまでなんと長かったことでしょう……

あまりにも当然の如く「魔法使い」(作中では「魔法士」)が歩く兵器の如く畏怖と忌避を持って扱われるウィズブレ世界の殺伐っぷりは半端ないですね。
10歳の少女が「見た目は子供でもこいつ魔法士だから(普通の人間の自分たちに危害を加えるかも知れないので)殺しとくか」なんて扱われ方をするお話、それがウィズブレ。



ぱんほー! (HJ文庫)
ぱんほー! (HJ文庫)

「ドンパチ満載! 美少女超満載! 戦場アクションラブコメディー」(帯より)

……どの口が、いったいどの口がそんなこと言うのかなぁ? どこに「ラブ」や「コメディー」があるんだよこの話の。
「美少女戦車兵」というネタから想像されるものを遥かに超越した、得体の知れない存在がそこに。
例えば主人公の乗る戦車の車長であるヒルデガルド、「すぐに銃を突きつけてくる美少女車長」という彼女のキャラクター造形そのものに意外性はありません。しかし本作では銃を突きつけるどころか、気に入らなければそのままあっけなく主人公を射殺しそうな雰囲気に満ち溢れているところが何か違う。

それなのにイラストで描かれるのは萌え美少女で、時折唐突に挟まれるサービスシーンもあまりにあざとすぎ、どうにも据わりが悪いのです。
とはいえ、この不思議な空気を突き詰めていけばそれはそれで面白くなるとも思えてくるところ。
この巻ではおよそ半分を世界設定の説明と戦車うんちくに費やし物語が動き出すのが非常に遅いので、そう言った部分を省ける続編(もし出るのなら)に期待したいです。



ドイツ空軍全史 (学研M文庫)
ドイツ空軍全史 (学研M文庫)
最近妙に高まりつつあるドイツ空軍への興味に任せ、年末辺りから読んでいたのを一気に読了。
米軍の軍人という出自ゆえかやたらとドイツ空軍、それどころかドイツ軍そのものに対して手厳しいのには読み始めた当初驚いてしまいました。褒めている部分がほとんど無い。
だがそれを差し引いても、個別の戦闘やパイロット、航空機から離れて「組織としてのドイツ空軍」の沿革を手短に学ぶにはなかなか良い本なのではないかと思います。



とらドラ! 1 (1) (電撃コミックス)
とらドラ! 1 (1) (電撃コミックス)
アニメを最新話まで一気に観たところで、小説を揃える前にまずは買ったまま積んでいたコミック版「とらドラ!」を読了。
……先にアニメを見ていると恐ろしくテンポが悪く感じます。このコミック版が悪いというわけではもちろんなく、同じ「絵で表現するメディア」として見たときにアニメと漫画の間にある差のせいなのでしょうけど。

表紙を見ても判るどちらかと言えば少女漫画的な絵柄は、「とらドラ!」という作品の内容にまさにぴったり。
考えてみれば、大河を主人公に据えると「何をやっても上手くいかないドジな私」(大河)、「同じクラスの憧れの彼」(北村)、「憧れの彼との恋路を応援してくれる、彼の親友」(竜児)、「小憎らしいライバル」(亜美)、「いつもいっしょの明るい親友」(実乃梨)と、まさに古典的少女漫画なキャラクター配置がされていますしね。
典型的な「男の子向け」から微妙に外してくるそう言った部分が、きっと俺が「とらドラ!」という作品を気に入っている要因なのではないかと思える最近です。




以上で2009年1月〜2月読書まとめは終了。書き出すとどんどん言いたいことが溢れてきて、結果として非常に長くなってしまいました。
今後はきちんと1冊1記事でまとめないとなあ……