偏読日記@はてな

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テン年代になってもまだまだ「ヤンデレ」は終わらない - ヤンデレ惨 〜ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD3〜

【EDGE RECORDS】ヤンデレ惨 〜ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD3〜


タイトル通りの代物か検証しようと第1作の「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」をベッドの中で眠る間際に聴いたら、本当に眠れなくなったのも良い思い出ですね(ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD - 偏読日記@はてな
と言うわけで、2008年に始まったこのドラマCDシリーズもついに3作目。息が長いのは良いことです。


第1話 「桜ノ宮 慧梨主」編(従妹)

追い詰められた気弱な娘が反転して病んでいくのはいつみても良いものですね。これだよ、これ。オーソドックスな構成とストーリーだからこそ、熱の入った演技がよく映えていました。
開始1分くらいで主人公(=語りかけの相手)が嫌な意味でスイッチを入れてしまっていて笑うしかなかったです。その対応はいけない!!
「お前はお姉様じゃない!!」からはじまる唐突な論理の大飛躍が素晴らしかったです。お前は何を言っているんだ……

第2話 「ユーミア」編(メイドロボ)

「10テラバイトくらいの嘘」とかうまいこと言ったつもりか!! こら!!
15分くらいの短編、しかも音声のみで「記憶を失ったメイドロボット」をやろうとした結果、何だか平坦になってしまっているのがちょっと残念でした。後述する第3話と違って、ひたすら設定を開陳するくだりが他の部分と分離しているように思えます。キャラクターを立てるのでもなく、お話の要素になるのでもなく、たんなる「説明」のよう。
まあ、何回か聞いていたらだんだんと楽しくなってきたので、単純に俺の好みの問題なのかもしれません。

第3話 「朝倉 巴」編(バイトの後輩)

一言で表現するなら、「わたしはまだあと1段階『病み』を残している……!!」
まさかの2段階変身(?)には心底驚愕しましたよ。繰り返し聴くと、「まだ覚醒前の状態だから、いきなり真実を言っても信じてもらえないと思って……」が二重の意味に取れてかなり面白い台詞に思えてきますがこれは何処まで意図しているのやら。
独自の設定、独自の単語の連発という点では第2話と変わりはないものの、こちらはそれが綺麗にキャラクターの確立につながっていて良し。本当におかしい人ってのは、自分が正しくて世界が間違ってると思ってるんだよね。
具体的なネタについては伏せますが、この二つを組み合わせるというのはまさにゼロ年代後半からの萌えオタ業界の流行を如実に反映していると思いました。
あと、黒髪Verの方が俺は好きです。あの変なツインテールより黒髪ショート(婉曲表現)の方が断然かわいいだろ。

第4話 「桜ノ宮 亜梨主」編(従妹)

俺達は、シチュエーションとしての「ヤンデレ」をことごとく消費し尽くしてしまったんだなあ……
ライナーノーツのストーリー解説ページで"UNKNOWN"となっている辺り、変則的なヤンデレものを意図してのお話のようです。実際なかなか見ないパターンで、「べ、別にあんたが好きなわけじゃないんだからね?!」的なよくある台詞に上手いこと裏の意味を持たせているあたりも感心してしまいました。
でも、俺、これと似た関係性の変則ヤンデレを去年書いてるんですよね。ちょっとびっくりしましたよ。
同じ「ヤンデレ」という関係性・シチュエーションから出発して紆余曲折を経るうちに同じところにたどり着いたというか、結果として似てしまったと言うか。



シリーズ第3弾ということでマンネリに陥るのを多少心配しながら聴き始めましたが、そんな危惧は聴き終わる頃にはすっかり吹き飛んでいました。第3話と第4話は何回聴いても良いなあ。


ヤンデレ惨~ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD3~
ヤンデレ惨~ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD3~