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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

最近の読書(2010年6月版)

読んだきりで記事にまとめていなかったここ最近の読書について、まとめて感想を書いてみます。今回の対象は以下の3冊。


耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)
耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)

社会主義国家ネタ絡みで俺の近辺で妙に騒がれていて、気になっているうちに3巻で完結していた耳刈ネルリシリーズの1作目。
ディストピアとしての社会主義国家風の世界設定/描写と、それを覆い尽くす軽妙なようでねちっこい主人公の語り口が合体した結果できあがったのは、悪趣味すれすれの形容しがたい何かでした。暗い話にしようと思えば徹底的に可能なところを、あえてそちらに舵を切らず、目を向けず、ふざけてやり過ごしているからこそ逆に奥の方にあるどす黒いものがにじみ出てくる感じ。なんなんだこれ……



ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上
ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 下
ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 下

図書館で見かけて面白そうだったので借りてみました。
「アメリカにとって朝鮮戦争とは何だったのか」という視点に重きが置かれており、朝鮮戦争総史を学ぼうと手に取ったので肩すかしを食らった感はあります。韓国軍の様子はほとんど無視されていますし、朝鮮戦争まわりのアメリカの政治状況についての記述が大部分を占めています。戦場での様子が詳しく語られるのも、戦争全体の中のごく一部のみ。
だが、それでも個人の目から見たミニマムなものを積み重ねることによって「戦争」という大状況をあぶりだす手腕には確かなものがありました。
ホワイトハウスで介入について思い悩む大統領から、朝鮮半島北部の塹壕の中で寒さに震える兵士まで。ありとあらゆる階層、ありとあらゆる立場の人物の目を通したバラバラな朝鮮戦争体験の集積が一つの人間ドラマとして見事にまとまっていました。
これが初めてのハルバースタム作品でしたがなかなか満足だったので、名著と有名な「ベスト&ブライテスト」辺りにも手を伸ばしてみようかと思っているところです。