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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

最近の読書(2010年10月分)

感想

最近忙しくて更新が滞ってしまったのでまとめて簡単な感想記事を掲載。


とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)
とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)


1巻〜3巻中盤までの丹念な積み重ねを、そこからの怒濤の戦闘シーンで一気に消費してさらなる高みに駆け上るさまに衝撃を受けてから8ヶ月あまり。
ようやく手にした最新刊も、実にもう憎らしいくらいに安定したクオリティでした。読み終わって最初に感じたのが、自分の感情をうまい具合に操作されて「面白く思わされた」ことに対する悔しさのような気持ちでしたよ…… 
「戦場の空を支配するのはただ実力のみ。気持ちだけはやっても犬死にするだけ」とさんざんに強調しておきながら、最終的に気合いで何とかしている(しかもそれを読者に違和感を持たせずにやってしまう)のは本当に巧いです。


雷轟rolling thunder PAX JAPONICA
雷轟rolling thunder PAX JAPONICA

ある種の悪夢としての「戦勝国としてベトナム戦争に介入する日本」という舞台設定に何かピンと来るところがあるかどうかで全てが決まる作品。俺はどうかって? 大好きに決まってるじゃないか。



ヴィークルエンド (電撃文庫)
ヴィークルエンド (電撃文庫)

同著者の「紫色のクオリア」が大変に面白かったので購入。"共感覚障害" "ヴィークルレース"等々のSF的な道具立てに目を引かれがちだれど、その実はとてもまっとうな若者の物語でした。確立した何者かになる前の若者だけに許されるひりつくような渇望をうまい具合に描いてるな、と思ったり。高ぶりすぎた感情を熱としか感じられなくなり、自分が何を思っているのか判らなくなるという主人公の共感覚障害の形態は見事に物語に寄り添っていたと思います。
あと、ここまで積極的に/自覚的にモテまくるラノベ主人公はなかなか珍しいんじゃないだろうか。


あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

予め序章で描かれた約束された終わりに向かって、起伏はありつつも淡々と進んでいく様が感じさせる凄みには恐ろしさすら感じました。
死病を抱えた主人公と、その主人公によって生み出された小説を書くことを唯一無二の目的として生み出されたAIの対話が、生きること死ぬこと、物語を書くことの意味をひたすら突き詰めていきます。ラスト、「人間にとって物語とは何か」というところにまで到達した瞬間、自分が物語を通してそれを鑑賞しているということと併せてなにかとんでもないものを体験してしまったと震えが走りました。
あと、ちょうど胃が痛くてたまらないときに本作を読んだので、内容に引っ張られて「俺ってもうすぐ死ぬのかな……」と思えてきて大変に辛かったです。あれは病院の待合室で「ハーモニー」を読んだときに匹敵してた。



地球間ハイウェイ (ハヤカワ文庫SF)
地球間ハイウェイ (ハヤカワ文庫SF)

「百万年生きたもの」の思考や知性をあんなに判りやすく書いてしまうのはちょっと興ざめだと思うんですよ……



蝿の王 (新潮文庫)
蝿の王 (新潮文庫)

まさに楽園のような、生き抜くことに全く苦しまない環境にいるからこそ、少年たちが次第に内に潜む獣性をあらわにしていくのが引き立つといいますか。
極限状態に追い込まれた人間同士がお互いに疑心暗鬼に陥り……というのとは正反対の、だからこそ戦慄させられるものがそこにはありました。