目指せ、楽園(ハーレム) オトせ、"ヒメ神" - 「神なる姫のイノセンス」
ある日突然謎の集団に拉致された、平和を愛する一人暮らしの男子高校生・神堂祐貴。仕組んだのは、ある事情により十年間、別々に暮らしていた双子の妹、貴理だった。
さらに祐貴は、貴理が通う桃花泉女子学院――通称・桃女に強制的に転入させられる。祐貴に与えられた使命、それは学院に存在する七人の才女“ヒメ神”を「落とす」というものだった。
最初のターゲットは、成績優秀で気の強い生徒会長・鳴神かなみ。しかし祐貴とかなみの出会いは最悪で――。女子校に一人放り込まれた祐貴の命運やいかに!?
人気シナリオライターが送る、正統派学園ラブコメディーがついに登場!!(MF文庫J 作品紹介ページより引用)
MF文庫J オフィシャルウェブサイト - 神なる姫のイノセンス
なにをもって「正統派学園ラブコメ」を定義するかなんて考え出すときりがないのでそこには触れませんが、「主人公+主人公に好意を持つ複数の女の子」という構造に作品自体がはっきりと自覚的なのは珍しいところ。あらすじでも書かれているとおり、まず主人公の行動の目的からして「ハーレムを作ること」ですからね。
著者のゲームシナリオライターとしてのデビュー作「はるのあしおと」のなかでも特に好きなシナリオである楓ゆづきルートを執筆した人だと聞き、それだけの事前情報で読んでみましたが印象が違いすぎて驚いてしまいました。こんなに直球のハーレムラブコメもやっちゃうのか、と。
しかし、学園ハーレムラブコメラノベというスタイルそのものに自覚的な部分が物語としての面白さに繋がっているかは少々首をひねる所もあり。女の子はみな可愛いし、やたらとテンポの良い文体はストレス無くすらすらと読み下せて快適この上ないです。だがそれだからこそ、ハーレムを作るのが目的の主人公とその「攻略対象」として意図的に配置された女の子達という設定が引っかかってくるのでした。
「神なる姫のイノセンス」読了 何かこう……エロゲのシナリオだけを読んでるような…… / キャラクターの立ち絵や声優の声やイベントCGが欲しいよこれ
台詞の応酬と地の文による情景描写/主人公心情描写の入るリズムが、小説と言うよりエロゲ/ギャルゲの3行テキストウィンドウに合っている感じ>神なる姫のイノセンス
読了直後にTwitterに投稿した感想。最後までやれない(=SEXを描けない)ハーレムラブコメラノベという制度上付きまとう不自然さが、このまま進めていったらどんどんクローズアップされてくるのではないでしょうか。そういった意味で、エロゲで見たかった話だとも思います。
あと、本作はちょっと胸の大きい娘をひいきしすぎ。スレンダー組(ハルカ・貴理)にももっと光を当ててやろうぜ。
でかければいいってもんじゃないんだよ!! 2巻のプールで騎馬戦をするくだり、あのイラストみたいなシーンをもっと!!
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はるのあしおとレビュー - 偏読日記
本家サイトにて掲載している「はるのあしおと」感想記事。冒頭のあまりの上から目線は我ながらひどい。