偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「長期シリーズの新刊」という書評ブログにとっての鬼門

長らく本の感想記事をBlogで書き連ねてきてつくづく思うのは、シリーズ物の作品、それも十数冊と巻を重ねた長期シリーズの新刊の感想記事の書きづらさ。


「相変わらずの面白さ」なんてつい使ってしまいがちな表現も、それまでのシリーズを読んでいないとさっぱりです。「いままでにない新展開!」なんてのも、表現が逆なだけでそれまでに刊行されたシリーズの既刊で語られたものを前提にして成り立つ感想であることには変わりなし。
ずっとシリーズを追いかけてきた読者(=感想を書いている自分自身)にとっては既知なので説明無しに使ってしまいがちな舞台設定・人物名などの固有名詞も知らない人には何が何やらです。


未読の人のことなど気にせず好きなように書けばよい、と言われれば返す言葉もありません。
が、俺が感想記事を書くにあたって目指しているのは未読の人を置いてけぼりにした単純な感情の共有だけではないのです。未読の人に対してもいかに面白さを伝えられるか、単独の「記事」として読んだときに面白く読めるかどうか。実現できているかどうかは置いておくとして俺が目指しているのはそんな境地です。
そして既刊が増えるほど語りのために前提とされるものも増えていくシリーズ物の作品は、このスタイルで扱うにはちょっと難しい対象であったりします。
まったく予備知識が無いBlogの読者に対してはそれまでのシリーズの既刊で蓄積されたものを踏まえさせた上で「新刊」について語らないと置いてけぼりになってしまうわけで。この辺りがはてなダイアリーで6年近く書いていながらいまだにうまくやれなくて困っています。


「新刊」単体の内容から発展させ、物語全体をつらぬくテーマについての語りに繋げていくようなスタイルが良いのかとは思いながらもまだまだ道は遠いです。



……なんてことを、最近購入した「ウィザーズ・ブレイン」の新刊(シリーズ累計15冊目)を読みながら考えていました。

ウィザーズ・ブレイン〈8〉落日の都〈中〉 (電撃文庫)
ウィザーズ・ブレイン〈8〉落日の都〈中〉 (電撃文庫)