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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「スワロウテイル序章/人口処女受胎」

感想

スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)
スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)

「よく覚えておきなさい。人間(おや)が創造主として人工妖精(こども)を弄ぶことができるというなら、被造物(こども)の私たちもまた、人類唯一の隣人として人間(おや)の光と影を見透かしている。私たちが不完全なのだとすれば、それはモデルとなった人類種そのものに欠陥があるということなのだから」

スワロウテイル」シリーズもこれで3作目。今回は短編集ですよ。
今回は前日譚、シリーズの主人公揚羽*1の看護学生時代の物語ということで彼女が学園生活のなかで体験したちょっとした事件をちりばめた短編集……だと思っていたら、結局は今までどおりなにかとんでもない地平へ到達していました。

つくづくこのシリーズは「人類と同等の知性を持った被造物」が人類の隣に現れたときの思考実験SFだというのを実感。

第一原則 人口知性は、人間に危害を与えてはならない。
第二原則 人口知性は、可能な限り人間の希望に応じなくてはならない。
第三原則 人口知性は、可能な限り自分の存在を保持しなくてはならない。
第四原則 (制作者の任意)
第五原則 第四原則を他人に知られてはならない。

相次ぐ人工妖精の自殺事件と彼女たちを縛るこれら「人工妖精の五原則」から、人類の「意識」そのものの問題に迫るくだりはぞくぞくしましたよ。

あと、「人体の壊れやすい部分が見える眼」「桜の花びらの落ちる速度は秒速5センチメートル」は本当に笑いました。
シリアスなシーンで唐突にこういうネタが挿入されるのもいつも通り。

スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA) スワロウテイル/幼形成熟の終わり (ハヤカワ文庫JA) スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)

人工少女販売処 → 幼形成熟の終わり → 序章/人口処女受胎 と巻を追うにつれて表紙の揚羽がだんだん大きくなってきているので、4作目では揚羽の顔のアップが表紙を飾っていても驚かないよ。

*1:表紙の羽根の生えた娘