偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「はたらく魔王さま!」(1)〜(2)

はたらく魔王さま! (電撃文庫)
はたらく魔王さま! (電撃文庫)

世界征服まであと一歩だった魔王サタンは、勇者に敗れ、異世界『日本』の東京・笹塚にたどり着く。そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服”!!──ではなく、駅前のファーストフード店でアルバイトをしながら生活費を稼ぐ、いわゆるフリーター生活だった!
その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレホンアポインターとして日本経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり―!?
六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働くフリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。
(Amazonより引用)

札幌読書会の課題図書に選ばれたのを機に2巻まで読了。
タイトルと舞台設定から予想していた物語とまったく違う…… なにこれ面白い!! 

異世界で敵同士だった魔王(男)と勇者(女)が現代日本で一般人に身をやつしていがみあいながら勤労生活という設定から、もっとおちゃらけた軽い話だとばかり思っていました。それが、こんなに地に足のついた生々しい話だったとは。
「異世界人が現代日本の東京(笹塚)で生きて行くにはどうしたらいいか」を驚くほどしっかり描いてるんですよね。魔王が現代日本にやってきて最初にすることが戸籍偽造と銀行口座開設という時点で何かが違う。
そうしてやたらと現実的でありながらもコメディとしてもきちんと成り立たせている、とても優れた緩急の付け方には感心。重くしようと思えばいくらでもそうできるのにそちらに落ちては行かない巧さがありました。

魔王に好意を寄せるバイトの後輩の女子高生 千穂(表紙イラスト真ん中の娘)が健気で最高に可愛く、魔王がきちんとまともな大人として格好良く描かれているのでなぜ千穂が魔王を慕うのかというところの説得力が半端じゃないのも新鮮でした。ラブコメ的な、特に理由無く好意を寄せられる主人公の対局にいるんですよね、魔王さま。

「魔王と勇者」という設定先行ではなく、基礎から緻密に積み上げた堅実な作りがとても俺にとっては好ましい物語でした。千穂可愛いしね!!(2回目)
続刊も今後すぐに追いかけていこうと思います。


はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)
はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)