アニメ「艦隊これくしょん」感想、あるいは我々が艦これに見出している「物語」について
TVアニメシリーズ第二期・劇場版アニメも発表になったところで、ずっと書いていなかった1月から放映していたアニメ「艦隊これくしょん」の感想をようやく書いてみました。
Blog記事にしていないだけでTwitterではそれなりに長文を書いていたので、それら断片をまとめています。
そして艦これアニメについての感想を書くことはい、結果的に動画を一方的にインプットするだけのアニメ作品と、プレイヤーが能動的に行動した結果としてのプレイ体験が返ってくるゲームとのメディアの違いについてに繋がるのでそちらについても触れてみました。
アニメの「空虚」さ
事前の期待値が極限まで下がってアサルトガールズ級になってた×観ながらキメた焼酎ロック1杯日本酒2杯のアルコールで判断力と感受性が極度に低下していたので「えっ普通に話なってるじゃん」みたいな感想が
プレイ体験からそれぞれのプレイヤーの中に生まれるそれぞれの「物語」抜きに、ゲーム内で静的に提示されてるものだけで構成するとこんなに空虚だったんだな、というのをあらためて思い知らされるな>艦これアニメ1話観た
あと原作台詞引用に関しては「言わせておけばファンは喜ぶんだろう」でなく、ゲームをプレイしてると体験を通してほんの1,2種類の戦闘ボイス入渠ボイスでキャラが立ってしまう → 結果だけ見て、その台詞を言わせればキャラが立つだろう という制作側の誤解を感じる>艦これアニメ1話観た
榛名に戦闘突入の際に「勝手は榛名が許しません!」 ””以外の”” 台詞を言わせようとすると、”榛名はこんなこと言いそう”というキャラクター解釈が必要なんだけど、ゲーム内で静的に示されてるものだけだと薄すぎて考えるの難しいよな、とか>艦これアニメ1話観た
限られたグラフィックを補完する我々の「体験」と、そこから生まれる「物語」
あんまり深く考えたことが無かったけれど、艦これってゲーム内だと1キャラにつきグラフィック4枚(通常、中破×ノーマル、改)しかなくて、いくらプレイしても新しいカードの絵柄が手に入ったりしないんだよな※改二とかその辺は考慮せず
俺たちプレイヤーが見ている艦娘の多彩な姿というのは、ゲーム内の4枚だけの絵を元にして各プレイヤー個別の一回性のプレイ体験から脳内に描かれたものと、それらが二次創作として表現され他のプレイヤーにも共有されるようになったもので、ゲーム内のデータに源は無いんだよな
2015-01-11 00:45:25 via TweetDeck to @a_park
@maria_sayaka @GammaRay_HM でも自分たちプレイヤーの中にはグラフィックが通常・中破の2枚しか無くても問題なくプレイ体験としていろいろな艦娘の姿を脳裏に描けるじゃないですか 艦これの「物語」の肝がこの辺りにある気がして
2015-01-11 00:48:28 via TweetDeck to @maria_sayaka
@maria_sayaka @GammaRay_HM 「二次創作がしやすい」どころか、もしかすると自分たちが艦これの「物語」だと思っているものって全て自分または他人がそれぞれののプレイ体験を通して脳裏に得た二次創作で、公式は全くの空虚なのではとすら最近は思っています
2015-01-11 00:52:05 via TweetDeck to @maria_sayaka
二次創作設定の取り入れについて
「広く受け入れられる二次創作設定」と「一部にしか受け入れられない二次創作設定」が有るだけで、俺たちが「艦隊これくしょん」に視ている物語・キャラクター描写ってほぼ全てそれぞれのプレイヤーがそれぞれのプレイ体験から想起し、共有した二次創作設定なのでは……とすら思えてきた
おまけ:公式コミカライズの空虚さ
「艦隊これくしょん いつか静かな海で」を2巻まで読んで、あまりの空虚さに打ちのめされていた ディティールを描き込めば描き込むほど、なんで戦ってるの? 何と戦っているの? という中心の空虚さがあらわになるというか…… プレイしているとそこを「各自の物語」が埋めてくれるんだけど
これは凄く死後の世界っぽい作品だと思うのです。とても抽象的で輪郭の掴めない世界の中で、その身におった役割や果たせなかった想いを繰り返し再生し続けるような。
艦隊これくしょん−艦これ− いつか静かな海で 2 / 田中謙介・C2機関・さいとー栄 - FULL MOON PRAYER
この公式コミカライズ「いつか静かな海で」の感想記事が図らずも俺がアニメから感じた空虚さを巧く表現していたので引用。本当に、恐ろしいくらいに空虚なんですよ、艦これは。
アニメ終盤を見て
積んでいた艦これアニメ終盤4話を観た 俺の感想としては”””絵に説得力が足りねえ”””の一言に尽きる なんなのそのレイアウト、なんなのその演出!? みたいな引っかかりを覚えて没入させてくれなくてつらかった
脚本がどうの、キャラクター描写がどうの、二次創作の取り入れがどうの……ってのは原因じゃ無くて結果で、まず動画作品なんだから「良い画」を見せてくれよに尽きるな、と思った
関連リンク
- [CEDEC 2013]海外で盛り上がる「ナラティブ」とは何だ? 明確に定義されてこなかった“ナラティブなゲーム”の正体を探るセッションをレポート - 4Gamer.net http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20130827028/
- [CEDEC 2014]冲方 丁氏の基調講演「物語の力」。物語の正体と,これまでの歴史,そしてこれから - 4Gamer.net
- あの鈴木銀一郎氏がついに提督デビュー。本当に今からでも遅くない,80歳ぐらいからの「艦これ」のススメ - 4Gamer.net
艦これのプレイ体験とそこから生まれている物語について参考になりそうな記事を挙げてみました。