潮風の消える海に
- 出版社/メーカー: light
- 発売日: 2007/01/26
- メディア: DVD-ROM
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ただもう本当に面白かったです。
どれくらいかと問われれば、このblogのレイアウト変更して応援バナー(大)をトップ上に持ってきてしまうくらいに。
中盤までプレイした時点でこれは点数「9」をつけられる作品かなと思えてきて、ラストまでやってそれは確信に変わりました。
CROSS † CHANNEL・シンフォニック=レイン・群青の空を越えてに引き続き4本目の「9」をつけるゲームになりそう。
俺が早狩シナリオを好きすぎることを差し引いても現時点で2007年のベストに入りそうな勢いです。
紹介記事だけ読むと田舎町を舞台にしたほのぼのストーリーにしか思えない僕夏が無茶苦茶に痛々しく黒い話であったように、今回も「ひと夏の青春物語」的お話を予想していると(いい意味で)裏切られそうです。
企画発表時の日記に俺はこんなコメントを残していますが、やはり予想通りに(?)裏切ってくれました。
「男女4人夏物語」な話だと予想していたらかなり長い期間にわたるお話でびっくり。全然「ひと夏」じゃないよ。
…ま、沈んでるヨットを素人に毛の生えたような連中で修理して外洋に出ようという話が夏休みの間に可能なわけ無いわけで、妥当といっちゃ妥当ですけど。
それ以前に各種紹介記事でクローズアップされているヨット修理はあくまでもきっかけであり、お話の本質的なテーマは完全に違うところにありますね。
きっとこれも判ってやっているんだろうなぁ。
そして早狩武志氏は ツ ン デ レ を 理 解 し す ぎ だ と 思 い ま す。
俺は全然そういう属性が無いどころか、昨今の類型化されすぎた「別にあんたの為に〜」なキャラを見るとちょっと虫酸が走るくらいなんですがこいつはヤバイ。美潮かわいいよ美潮。
序盤で遅くなったから送っていこうという主人公にこの仕打ちはツンデレってレベルじゃねーよという気もしますけど。
オーソドックスな話ながらも構成の妙が際立つ「僕と、僕らの夏」、関東VS関西・学生がグリペン登場といったエキセントリックな舞台設定が目を引く「群青の空を越えて」の同ライターの前2作に比べると恐ろしく地味な話です。
が、地味だからといって前2作に比べ劣るというわけでもなく。
むしろそういう余分な点が無い分、特色である地に足の着いた人物描写と小説的な質の高いテキストが光っているかと。
ことさらにプレイヤーに媚びたキャラクターでもなく、なにか大きな事件を物語内で起こすこともなく、それでいてこれだけ先が気になる「読ませる」お話を書けるのは相変わらず大したものだと思いますよ。
夏以外の季節の描写と莉佳子ルートを追加した完全版が出るのならフルプライスでも買ってしまいそうですが、それは「群青の空を越えて」がPS2で出るのを望むくらい難しいことだろうなぁ。