虐殺器官

- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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「俺が本当の虐殺の煽り方を教えてやる・・・」
「GYAKUSATUせよ! GYAKUSATUせよ!」
「出た・・・ ジョン・ポールさんの1秒間に10回虐殺発言」「ほ、ホンモノだ!」
最初は真面目な感想を書こうと心の底から思っていたのに、突然「虐殺器官+DMC」という天啓が降りてきたらもうそういう風にしか見れなくなりました。俺どうしちゃったんだろう。
というかね、類似のネタを思いついた人間の数は日本全国で4桁ではきかないと思うんだ。
鳩がゲロをつつく公園で - 関係ないけど、朝猫の死体見てスゲーびびったの巻 ← 検索してすぐ見つかった一つ
……と、馬鹿な発言はここまで。
軍ヲタの端くれとしては「未来の米軍特殊部隊」のガジェットだけでもうおなか一杯でした。
一般的に想像される「SF軍隊」の凄さというのは未来科学を駆使したハイテク装備であり、本作でもそれは変わりません。
が、それよりも俺が一番衝撃を受けたのは作中で登場する「米軍諜報関係者のみ使用できるサイト」
トップページホットエントリ一覧を見て世界情勢を把握、自らに降りかかった問題には掲示板に質問トピックを立ててその分野の専門家の助言を請う、というのはSBMやSNSがこれほど発展し流行した今だからこそ出来る発想なのではないかと思います。
やってる事ははてなトップページ見てネットの流行を確認しmixi(or人力検索)で質問トピックを建てるのと本質的には変わりませんし。
他にもネットワーク社会における個人認証、ポスト9.11の「テロとの戦争」から戦場における「人間の良心」まで、大量のテーマを詰め込みつつも破綻なくまとめた手腕は流石。
ある意味ではこれでもかとばかりに「現代」の世相を反映した作品なんですが、SFというのは(その時点における未来への希望or絶望を描くという意味で)ある意味では最も世の中の状況に影響を受けるジャンルの一つなわけで。
そういう意味では物凄く真っ当な作品なのではないかと。
……なんだか難しい事を書いてしまいましたけど、純粋にエンタメとして面白い作品でしたよ。「藤原とうふ店」には笑いました。
まさか真面目な話が続いたところで唐突にそんなネタを仕込んでくるなんてっっ!