偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

恋のドレスとつぼみの淑女

巡回先(id:Kadzuki氏やまいじゃー推進委員会あたり)で存在を知り、ずいぶん前に買って積んでいたのをようやく読了。
なんというか、これ以上までになく「少女小説」な筋書きにはこちらが恥ずかしくなってきそうでしたが、それでいてつい読み進めてしまうのはキャラ立ての上手さ故か。
読み終わってから全体の流れを思い返すと本当にお約束に満ちているのに、何故かあまり気にならないというのは目立たないけれど相等凄いことなのではないかと。


また、主人公がヴィクトリア朝の仕立て屋の女主人兼針子ということでドレス作りがお話のうえで重要な位置を占めています。
なので当時の女性向けドレスなどという現代日本に生きる我々にとって馴染みの全く無い代物が数多く登場。
が、全く知識の無い俺にでもなんとなく想像させる描写力はたいしたものでした。
具体的に形状を書き連ねるのに終始するのではなくむしろもっと抽象化した言葉で、しかしけして簡略化しすぎることなく「どんな雰囲気のドレスか」を見事に語っています。


そこそこ気に入ったので続刊も読んでみようかと考えてます。
こうやってだんだんとコバルト文庫すら守備範囲に含まれるようになっていくんだね。