クジラのソラ(3)(4)
- 作者: 瀬尾つかさ,菊池政治
- 出版社/メーカー: 富士見書房
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- 作者: 瀬尾つかさ,菊池政治
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SFスポ根RTS(リアルタイムストラテジー)ラノベ「クジラのソラ」もついに4巻で完結。
もともと地球規模で国家対抗戦として行われる<ゲーム>を題材にした話で、いきなり1巻から日本代表決定戦だったりと「スポーツもの」としてはだいぶ舞台の大きい話でした。
その後も物語が進むにつれその傾向は更に進み、終盤たるこの3・4巻では比喩でなく宇宙的な意味でスケールの大きい話に。
それと同時に最初は軽かったSF的要素が膨らみ、スポーツものというよりは純粋なSFとでも言った方がよい物語になっていました。
でも「根性」の部分は相変わらずだけどな!!
「なにもかもそつなくこなせるがゆえに、どんな分野でもその道の一流には敵わない」というプレイヤー特性をもって登場した主人公が、最後まで「平凡な一般人」の範疇を出ないのは中々良いところ。
一貫して行動原理がぶれないのが果てしなくスケールが大きくなっていく話を繋ぎとめ、物語的現実感を失わせないことに繋がっていたのではないかと。
……いや、まがりなりにも日本代表を務めている時点で「一般人」扱いはどうなのよ、と言う気もしますけど。
しかし比べる相手が「人類最高の天才」とか「宇宙最強」等々の厨臭い強さなので、その面子の中では最弱の平凡な人なのですよ主人公は。
この記述だけ見ると力のインフレにも程があると思う向きもありましょうが、こうも突き抜けてくれるといっそ清清しさすらあったり。
さすが2巻後書きで「必殺技の撃ちあいとか力のインフレ展開とか大好き」と著者自らが語っているだけのことはあります。
ラストは風呂敷が広がりすぎる前に何とか畳むことに成功したとでもいうべき少々性急さを感じるものでもありましたが、だらだらと続けるよりはここらで終わらせた方が良いか。
個人的には断片的にしか描写されない「彼ら」や「敵」についてもっと体系的に語ってほしかったりします。
あの辺りは突き詰めてくとSF的にかなり面白いことになりそうなのですけどね。流石にそれは富士見ファンタジアでやることではないか。