「てとてトライオン!」の素晴らしすぎる分岐構造について無駄に語ってみる
相変わらずの「大きい順メソッド」に従い、2周目夏海ルートをクリア。
……え、これで終わり?!
洒落でも何でもなく、本当にこれが終了直後の俺の気持ち。せめてもう一山くらいはあると思っていたのに。
だけど、ラストでちょっと拍子抜けしてしまった以外はけっこう満足していると言うのもまた事実。
「普通の学園もの」の極致だなんて薦められた際に言われたものですが、確かにそうとしかいいようがないです、これ。終えたあとに何か深いものをプレイヤーに残すお話ではないけれど、心地よくいつまでも浸っていたい物語でもあり。
夏海みたいなタイプはあんまり好みじゃない俺に、プレイしているうちに気がつけば可愛く思わせてしまう「見せ方」はたいしたものだと思うのです。
……でも、伏線の回収を放り投げすぎているのはやっぱり納得いかないけどな!! なんだよあれは!!
そして、お話の内容についてこれくらいしか書けないので、会長ルートクリア時に世界観の話をしたのに続いてこんどはシステムについてでも。
「2択の選択肢×2回」で4人のヒロインのルートに分岐、という本作のシナリオ分岐はこれ以上ないほどに単純化されたものですが、俺が巧いと思ったのはその「選択」の内容。
プレイ前は下図のように、樹形図のように四個のルートに分かれるものだとばかり思っていました。
しかし、実際のところは全く違いました。模式図を描くと下のようになります。
ヒロイン四人を二人組×2に分け、「学園で起こったトラブル解決に際して何処に向かうか(=どちらの組と一緒に行動するか)」×2で四つのルートに分かれるこの構造は本気で凄いと思いました。これ以上単純にしようがない。
そして、これによって選択肢がいわゆる「好感度上げ」とは正反対になり、それがストーリー内容と相まって面白いことに。
選択肢の上では積極的に言い寄っている事にならない(というか、行く先選んでるだけ)なのに、プレイヤーにだけはどちらに行けば誰が居るか明示されるので「誰を選んでいるか」をはっきり意識させることになってるというのはもっと注目されてもいいと思うんだ。
そして、どんなに適当に選ぼうと必ず誰かと二回一緒に過ごすので、よくある選択ミスで狙っていたのと違うキャラに、というのもないですし。
……結果として、身も蓋もなく言うと他よりほんの少しだけ一緒に居る機会が多かった人とくっついてしまったとでも言うべき事になっていますけどそれもまた「リアル」なのさ、きっと。
ちなみにこの手の「好感度上げ」の正反対の選択肢、すなわち選択肢の内容から誰に向かっているかが判りづらいものとして俺が一番に思い出すのは「はるのあしおと」
あれも三択×二回で三人のヒロインのルートに分岐する話でしたけれど、その内容が「大掃除で「教室」「中庭」「体育館」の何処に行くか」「体育のマラソンで「本気になって先頭」「軽く流す」「一番後ろから付いていく」のどれを選ぶか」の二回で、しかもどの選択肢を選べば誰に会えるか事前にわからないと言う素晴らしさ。未だかってあの作品を越えるエロゲ選択肢に俺は出会ったことはありません。
人生は偶然の出会いで出来てると言ったって、これでは偶然にもほどがあるわ!!