偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「恋ではなく」が面白かった奴はみんな買おうぜ - 「恋ではなく」ビジュアルファンブック

各シナリオルートの詳細や登場キャラクターの紹介、描き下ろし画像の掲載などはもちろんのこと、各種劇中アイテム紹介や舞台となった酒田の街へのいわゆる"聖地巡礼"記事なども収録。
また、早狩氏によるオリジナル書き下ろし小説やメインスタッフへの詳しいインタビューなど、見逃せない内容が満載です!

恋ではなく ビジュアルファンブック - MAX

まず充実した舞台探訪記事に脱帽。写真と地図を交えて詳細に酒田市内&飛島の「恋ではなく」作中に登場した風景を追っており、世の舞台探訪Blogの出番がなくなってしまいそうです。尚人ルート終盤の追跡行を地図上に表していたりと単純にただ写真とゲームの背景画像を並べるだけでないのもよく出来ています。

目当てにしていた早狩武志の書き下ろし小説とインタビュー記事も共に満足できる内容でした。
書き下ろし小説はまさかのあの人の後日談。はっきりと明言されていないので推測しか出来ないのですが、まさか彼がそんな事に…… こんな話を持ってこられるとは思ってもみず、とても驚いてしまいました。早狩武志が自作の外伝を書くときは「元になる物語の過去話」「主人公以外の視点から元になる物語を見た話」のどちらかをやるというイメージを強く持っていたものでして。

インタビュー記事の方もプロデューサー春山学&原画家トモセシュンサクのインタビューが2ページなのに早狩武志は4ページという力の入りよう。「実在の街を舞台にした理由」あたりはBugBug2011年7月号掲載のインタビュー記事(BugBug7月号の早狩武志インタビューがいつも通り過ぎて安心 - 偏読日記@はてな 参照)にて語っていることと同じですが、カメラや写真、映画を題材に選んだことについて詳細に語られているくだりはなかなか興味深かったです。
また意外だったのはグランドルート終盤の展開について「語りすぎていて物語として美しくない」と早狩氏自身は認識しているという記述。しかし言われてみればグランドルートの終盤は半ば強引に人間関係を清算してそれぞれに「ハッピーエンド」を与えているように思えるところもあり、あの微妙な違和感のようなものの理由がわかった気がします。


恋ではなく ――ビジュアルファンブック (MAXムック PUSH!!Selected)
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こちらの同人誌に「恋ではなく」論を寄稿していますので、よろしければ是非。