偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

"最近のファンタジーラノベ"の最前線 - 「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」

問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました! (角川スニーカー文庫)
問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました! (角川スニーカー文庫)

世界に飽きていた逆廻十六夜(さかまきいざよい)に届いた一通の招待状。『全てを捨て、"箱庭"に来られたし』と書かれた手紙を開けた瞬間──完全無欠な異世界にいました! そしてそこには、猫を連れた無口な少女と高飛車なお嬢さま、そして彼らを呼んだ張本人の黒ウサギ。彼女が箱庭世界のルールを説明しようとしたら「魔王を倒そうぜ!」と十六夜が言いだして!? そんなこと黒ウサギは頼んでないのですがっ!!  異世界から呼んじゃった世界最強問題児たちと、超絶愛玩生物黒ウサギが巻き起こす、ハイテンションファンタジー開幕です☆

[スニーカー文庫公式サイト]ザ・スニーカーWEB

このタイトル、主人公たちが現実世界から「問題児」として異世界に行くのかよ!! 視点がファンタジー世界側にあるから、それが「異世界から来る」になるのかよ!!
読み始めてまずここで認識をずらされましたよ。タイトルだけ聞いて、てっきり「問題児」が異世界から現実世界にやってくるお話しだとばかり思っていたので。


読んでみたらいい意味で「リアル」に囚われない制御されたでたらめさが心地よい作品で、まことに素敵な異世界ファンタジーを堪能させてもらいましたよ。
「現実的」であろうとすることに囚われず好き勝手にでたらめをやっているようでいて、「異世界」である作中世界の骨組みはその裏でしっかりと構築。本当に無茶苦茶をやっているようでいながら物語として崩壊しないバランスを保つところが素晴らしい。
身体能力が高く(比喩でなく人類最強クラス)そのうえ頭も切れる主人公(のうち1人)を嫌み無く格好良く動かせている時点で相当なものだと思いますし、上限が全く見えない作中の物事のスケールのインフレの天井知らずさもここまで突き抜けてくれるともう最高。殴った相手が第三宇宙速度で飛んでいくとかもうなんなんだよ!!
新しい設定をまったく出し惜しみしない異様なスピード感のようなものも素敵です。普通はこの設定使って1冊書くだろ、というレベルの神話からの引用なんかを簡単に使い捨てますからね。そんなことしてネタが尽きないのか? と心配になってしまうくらい。

シリーズも順調に5巻まで出てアニメ化も決まりまさに勢いに乗っている作品なのも読んでみれば納得。タイトルで敬遠(俺はそうでした)するのはもったいないですよ。とても気に入ったので今後もこのシリーズを追いかけていこうと思います。


問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ? (角川スニーカー文庫)
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  あら、魔王襲来のお知らせ? (角川スニーカー文庫)