偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

ヤンデレデータベース

ここは、歴史に名を残す偉大なる乙女たちのデータベースです。  
愛のために生き、愛のために戦い、愛のために散っていった……“修羅場ヒロイン”や“ヤンデレヒロイン”たち。  
そんな彼女らの生涯を褒め称え、その功績を後世に伝えるための殿堂でもあります。

ヤンデレデータベース

その手のキャラクターの名前を列挙するなら誰でも出来るんですが、これの素晴らしいところはそのあまりにも気合の入りすぎた解説文。
取り上げられている人数に比して解説のついている数がかなり少ないのも納得です。
データベース作成者のキャラクターへの愛に満ちた紹介文はそれを読んでいるだけでも楽しいですよ。


が、個人的に少し気になるのは修羅場系SSスレ発の人が載っているところ。

対象を商業ベースの作品の登場人物に限るべきかと問われるととても難しいところですが、幅を広げすぎて「ぼくのかんがえたすてきなやんでれ」で満ちてしまうのもそれは困るわけで。

管理人氏が修羅場系SSスレ界隈出身の人であることや、もともとこのデータベースは同サイトの別企画修羅ダービーに登場する人物の解説として成り立ったところからすると不思議なところは無いんですけどね。

載っている数人も十分に取り上げられるだけの「資格」がある*1とは思いますが、はてブやニュースサイトなんかで取り上げられて初めてこの記事を見た人には何が何やらだろうなぁ。


(追記)いまこれを書きながら久しぶりにSSまとめサイトを見に行ったら、荒しにあって公開停止してました
悲しすぎる……

*1:元ネタ小説を読んだ限りでは

狙撃

狙撃 (ハヤカワ文庫NV)

狙撃 (ハヤカワ文庫NV)

「合衆国大統領を暗殺せよ」
米当局の取締りに業をにやした麻薬カルテルのボスたちは、一人の男に報復を依頼した。
男の名はシンカヴェジ。高度のゲリラ戦術を身につけた超一流のスナイパーだ。
だが、CIAの情報網により、計画は大統領警護課長マグワイアーの知るところとなった。
彼は、旧友を殺害されて怒りに燃える元デルタ・フォース中佐ギャノンと協力して、暗殺者を迎え撃つ。
密林に都市に展開する冒険アクション。
(Amazon商品ページより引用)

しばらく前に購入していたのをやっとこさ読了。
「樹海戦線」「ミッションMIA」そしてこの「狙撃」と俺の中でのJ.C.ポロック祭りはまだまだ続くよ!


今回も情景や戦術、武器などに対する恐ろしいまでに詳細な描写力はあいかわらず。
そのあまりに微に入り細に渡る「解説」が少々うざったく感じることもありますが、一般になじみのない情報機関や特殊部隊、殺し屋から麻薬カルテルまでを確固とした現実の存在として描く為にはある意味実に良い手段なのでしょう。

今回はCIA、シークレットサービス等のアメリカ情報機関がメインとなってくるので、その辺りの組織やらテクノロジーやらの描写が凄まじいです。
まさに世界に知らないことはないとでも言いますか。


そんなアメリカという国家の力を象徴するがごとき圧倒的な包囲網を、ただ己の頭脳と行動力のみで掻い潜っていく暗殺者シンカヴェジの姿はある種のダークヒーローと言っても良いかもしれません。
共感は出来ないけど格好いいんですよこれが。

対する大統領警護課長ギャノンと元デルタ・フォースのマグワイアーは逆に組織の力、なかでも個人的人間関係を縦横に駆使してシンカヴェジを追います。 
正直言って読んでいる時には同期生・戦友の繋がりというのはそこまで強いものなのかと首をかしげることもありましたが、これは徹底的に孤独なシンカヴェジと対比させるためにあえて極端に描いているのではないかと。
同じヴェトナムで地獄の深遠を覗いた者達のその後の生き方の違いを端的に表現しているのがこの辺りなのではないかと思います。


少々ご都合主義的な僥倖に助けられすぎ(特に終盤)なのではないかとも思えますが、これは逆に合衆国大統領の命を狙うということの難しさを表現しているのでしょう。
超一流の才能を持つ人間が超一流の努力をし、その上で運に助けられて初めてやっと可能というか。


そして迎える結末のやりきれなさも相変わらず。
このなんとも「現実的」なラストはポロックの味だよなぁ。