偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

2021年冬コミおつかれさまでした&新刊明石本 通販委託のお知らせ

新刊明石本 発行しました

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2021年冬コミおつかれさまでした!!

いまではもう遥か昔に思える2019年冬コミでプレビュー版を発行してから2年、ようやく射撃試験場の技官の明石本の完全版を出せました。
コミケ合わせでオフセット印刷の個人誌を出すこと自体が2016年冬コミ以来なので5年ぶりですよ。

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こちらはメロンブックスで委託中です。 www.melonbooks.co.jp

また、今後参加予定の以下の同人誌即売会にも持ち込み予定ですのでよろしくお願いします。

コロナ禍のコミケの風景

艦これジャンルはコロナ禍前の従来から東京ビッグサイトで即売会を行っており、そのため『東京ビッグサイトに艦これ同人サークルが並んでいるけれど人が少ない』という光景を見慣れていたため、いつもより参加者がかなり少なくなったコミケにも違和感をあまり覚えませんでした。

だが2日目、東館の友人のサークルで売り子をしながら周りを見ていて、あまりの人の少なさにちょっとこれは洒落にならないな……と改めて戦慄してきまして。 この情景をきちんと形にして残しておくべきだ、との思いに駆られ、買い物をしながらあたりの光景を写真に撮っていました。 f:id:a-park:20211231124750j:plain f:id:a-park:20211231125140j:plain f:id:a-park:20211231152938j:plain f:id:a-park:20211231145954j:plain f:id:a-park:20211231133628j:plain f:id:a-park:20211231153107j:plain

次回夏コミ(コミックマーケット100)は2022年8月。俺は変わらず申し込むつもりですが、果たして開催形態がどうなるのか…… いつかこれらの人のいないコミケの光景が「かつてはこんなこともあった」と過去形で振り返られるものになることを祈ってやみません。

1995年発行のコスプレイヤーもの成年向け同人誌を手に入れたので紹介する

いまや成年向け同人誌における女性キャラクターの人気属性の一つとなった感のある『コスプレイヤー』
この記事を執筆している2021年11月現在、メロンブックス通販の成年向け同人誌での”コスプレイヤー”検索結果は売り切れ品も含めて約160件。*1 これだけ存在すれば立派に一ジャンルを築いているといって過言でないでしょう。

こういった同人誌は2013~2014年ころに発祥があり、2017年くらいから大きく花開いて今に至るというのがこれまでの俺の認識でした。
よしんば知らないさらに古い同人誌があったとしてもせいぜい2000年代後半くらいなのでは、と思っていました。

しかしこの認識を覆す、1990年代に既に存在したという投稿をTwitterで見かけて驚愕。内容が気になりすぎて中古同人誌通販を漁りまくって発見、買ってしまいました。

「よくあるごく普通のアニメファン少女の転落の風景」(サメマロ)

こちらが入手した該当同人誌です。

Twitterには1993年と書いていますが、実際は収録作の初出93年・発行95年でした。

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20年前と変わるもの、変わらないもの

一読して驚いたのは、作中のコスを現代のキャラクターに取り替えたら2021年でも余裕で成立するのでは、と思えるくらい2020年代のいまと変わりが無いこと。

まず収録1本目「エスカレーション」(原題「アニメファン少女によくあるごく普通の転落風景」)の展開からして、

衣装とウィッグにこだわるおかげで万年金欠の同人作家兼レイヤーの主人公。

だが即売会会場では主人公の全身総額70万円のキャミイコスよりも、着ただけコスのぽっと出の若いナコルルレイヤーの方がカメコにチヤホヤされてしまう。

ライバル心を燃やすものの先立つものが無い主人公は資金源として壁サークルの神絵師に頼ることに。

しかし神絵師に借金返済をカタにコスプレセックスを強要され続け、ついに発狂してしまった主人公は露出の高すぎる不知火舞コスで会場に現れ、カメコの前であられもない姿をさらす。

その主人公の姿を見て涙を流す着ただけコスの若いナコルルレイヤー。実は彼女がコスプレを始めたきっかけは、初即売会で主人公のクオリティの高いコスプレ姿を見たからだった────

これですからね。

キャミィ・ナコルル・不知火舞といったコスプレ対象のキャラクターを入れ替えれば、もうそれだけで2021年現在発行するコスプレイヤーもの成年向け同人誌のプロットとして全く問題なく成り立ちますよ。
レイヤーの承認欲求、コスプレ・オタクコミュニティの中での男女関係の闇あたりの描写がいまとまったく変わりなく、なんとなくもっと牧歌的な世界だと思っていたのを裏切られて驚きでした。

「コス衣装が汗と精液でドロドロ!! こんなんじゃ明日のイベントで着られないよぉ……」という現代のコスプレイヤーものエロ同人誌で定番の締めの作品もあり。
しかし90年代初頭だと手作りかオーダーメイド衣装だろうから数千円の既製品が売ってる現代とは比べものにならないダメージだったのではないでしょうか……

「厳格な家に育った少女がコスプレを通じて自分を解放する喜び、カメコに撮られて承認欲求を満たす喜び、界隈の男性レイヤーと乱交する性の喜びに目覚めるが、妊娠・身バレでの退学から自殺へ……」という話もあり、この身バレが投稿雑誌経由というのが90年代感がありました。

ストーリーには普遍性があるものの、時代を感じたのは竿役男性の造形。
f:id:a-park:20211106131041j:plain f:id:a-park:20211106130944j:plain これが当時なりのチャラい男性像、コスプレコミュニティ・オタクコミュニティの中での遊び人の男性像なのでしょうが、女の子の描写は20年後でも変わらず可愛らしい表現だと思えるのに男たちはだいぶ違和感ありました。2枚目とか俺はちょっと笑っちゃいましたよ。

また、実は本書は「コスプレイヤーものエロ漫画+実写コスプレヌードグラビア」という構成になっており、これも19995年時点ですでにここまで到達していたのか、という驚きがありました。

俺自身が2015年の「艦これオフパコ合同」「コスプレイヤーもの小説&漫画+全年齢コスプレグラビア」合同誌を企画した際にこれは誰もやっていないだろう……と思っていたら既に20年前に存在していたとは……
読みながら「剱岳に初登頂したと思ったら山頂に平安時代の遺物が残されていた」みたいな気分になりましたね……

どの収録作もコスプレ対象のキャラを代えれば2021年でも成り立つくらい普遍性があるものの、少しだけ違うのは「コスプレイヤー」という属性そのものには大した価値が置かれていないところ。
あくまでも同人誌即売会を巡るコスプレイヤー男女のオタクコミュニティの中での性愛のもつれを描いているにすぎません。

近年のコスプレイヤーもの作品で盛り込まれがちな、「コスプレイヤー」という属性そのものに価値を置いている部分は皆無。

ここがこの20年で最も変化したところなのだろう、と読了して思いました。

おまけ:20年間のミッシングリンク

笹松さんの調査により同じく1995年にコスプレイヤーもの同人誌が出ていたことが発掘されました。

Twitterでの反応を見ている限り1993年以前から存在した、他にもあったという声がいくつかあるためどうやら90年代初頭頃からコスプレイヤーもの成人向け同人誌は存在していたようです。
1990年代初頭はおりしもコスプレブームによりコスプレイヤーが激増していた時期であり*2それと軌を一にして同人誌も出てきていたと言うことなのでしょう。
ということはそこから2010年代中頃に盛り上がるまで、およそ20年間のミッシングリンクを埋めるコスプレイヤーもの成年向け同人誌もきっと存在するはず。次はそこを探求してみたいですね。

*1:とらのあな通販でも件数を測定しようと試したものの、成年向け同人誌のみをフィルタできずコスプレ写真集や同人AVも含んでしまうため断念しています

*2:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC

「ケムリクサ」面白かった

11話放映後に騒ぎになっているので気になり、Amazon Prime Videoで一気見→12話(最終回)の配信をリアルタイムで観てました。いやー良かった、本当に面白かった。

こういうポストアポカリプスもの、一見すると人間のようなんだけど完全に異質な存在に成り果ててていて本人たちはそれを意識してない、という描き方の話が大好きなんですよね…… その点で言うと「ケムリクサ」冒頭10分はもう完璧。りなこが切なく消滅したあとで当然のように同じ顔が4人出てくるとことか。

6姉妹それぞれにやたら尖った方向に容姿と性格が特化してるのなんなの、元はプレーンなりりからこれだけのバリエーションが生まれるのプリンセスメーカーかよ。

これは1話冒頭にも通じていて、あからさまに「説明」しないでその世界を生きているものたちの日常、普通の姿を淡々と描いてくことで現実との差異を浮き彫りにしてくんですよね。りりがもう死んでいる事なんてサラッと一言で流されてびっくりしましたよ。

初見ではそんなストレートな『めでたしめでたし』に持っていくのか!! とやや驚いてしまったものの、思い返してみれば1話ラストからずっと育んできた『好き』なんですよね。

Amazon.co.jp: ケムリクサを観る | Prime Video

砲雷撃戦よーい!35おつかれさまでした&新刊書店委託のお知らせ

f:id:a-park:20180204083526j:plain 昨年末にコミケで来たばかりなのにまた来ちゃった。

というわけで2018年最初の同人誌即売会サークル参加として砲雷撃戦よーい!35に行ってきました。

前夜祭

前日入りしていたので高田馬場米とサーカスでダイオウグソクムシを食べ、秋葉原でポスターを受け取って「同人作家秋雲先生の相方になりたい人生だった」(2017年5月刊)のセルフ舞台探訪をして過ごしました。ダイオウグソクムシ、もう二度と食べねえぞ。

砲雷撃戦よーい!35

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2/4砲雷新刊「コスプレイヤー榛名 鹿島風 妄想拡張ディスク」 by 宇古木蒼@2/4砲雷と-07 on pixiv

2015年6月発行の「コスプレイヤー榛名妄想拡張ディスク」と、2016年5月発行の「コスプレイヤー島風鹿島妄想拡張ディスク」を合わせた総集編を発行しました。
コミケで新刊を発行してから1ヶ月後のイベントでふたたび新刊発行、総集編なので余裕だと思っていたら結局書き下ろしを10000字も書いたし過去作にも全面的に手を入れたしで、普通に新作を作るのと同じくらい大変でした。総集編を舐めていたよ……

f:id:a-park:20180204093334j:plainf:id:a-park:20180204093330j:plain じつは9年同人活動をしていて複数冊をまとめて再版する形の総集編を作るのは初めてで、手に取ったとき分厚さにちょっと感動してしまいました。

新刊はメロンブックスでも委託していますので、当日来れなかった方はこちらでどうぞ。非常にたくさん納品したため全国のメロンブックスの店頭にも出ているようです。
コスプレイヤー榛名 鹿島風 妄想拡張ディスク(宇古木亭)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス

おまけ  いま、同人誌即売会への参加告知をブログでする意味

2014年夏コミに際して、俺は以下のような同人誌即売会の事前告知についての考察記事を書きました。
とある小説同人誌サークルの夏コミ宣伝 - 偏読日記@はてな
この記事ではブログでの告知について以下のように記しています。

コミケ前日までの総ページビュー583。pixivの総閲覧数約1000、Twitterの総インプレッション約14000/総エンゲージメント約500と比較するとずいぶんと少ないです。 RSSリーダーで購読しているアクセスをカウントできないので実際に記事が読まれている回数はもう少し上だろうとはいえ、単純な見られている数からするとBlogでの告知はTwitterに及ぶべくも有りません。前々から何となくは判っていたこととはいえ、こうして数字でTwitterの拡散能力の高さが示されると驚いてしまいました。

あれから3年。昨年末の冬コミと今回の砲雷撃戦よーい!参加で、忙しかったのもあり2回新刊を発行するにあたって事前のブログでの告知は一切行いませんでした。告知手段はTwitter・pixiv・特設サイトのみ。
しかし蓋を開けてみればたいへん好調な売れ行きで、うすうすわかっていた事前のブログ告知の効果の低さを思い知った次第です。事前告知記事を書いている時間を他の準備に当てて、この記事のような事後の振り返り&通販のお知らせだけ書くようにしてもいいのかも。

感想「BLAM! THE ANTHOLOGY」

「何千キロも果てしなく続く階層都市」

この1フレーズの表現を圧倒的な絵面で表現しきった漫画版を前に、小説という媒体でどこまで迫れるかを競ったかのような短編集でした。
そのままでは巨大すぎて咀嚼できないBLAM!世界を再構成するにあたり、ミクロ(個人)に寄り添うか、その巨大さを巨大なまま扱うかの二系統の手法があり、冒頭がミクロの視点を極めた作品である階層世界における一個人の人生に寄り添う「はぐれ者のブルー」(九岡望 )  ラストがマクロ中のマクロの視点を極めた「射線」(飛浩隆)で終わっているのが象徴的。

収録作品の中で最もお気に入りなのは「射線」 BLAME!の背景設定である階層世界概念、無限に続く階層都市のイメージそのものの翻案とでも言うべきとんでもない作品でした。
並みの人間なら真っ向から立ち向かったら原作のスケールに圧倒されてしまうであろう階層世界概念そのもので創作してるってなんなんですかこれ。凄すぎる。
うたた寝する間に三千年が過ぎ、地球の質量の80%を都市建設のために消費する。時間的・空間的・物質的スケールの人智を超越した巨大さはまさにBLAME! くらくらするような情景が矢継ぎ早に繰り出される冒頭から引き込まれ、最後の最後で原作の霧亥の行動とリンクしたときには鳥肌ものでした。