へうげもの(4)

- 作者: 山田芳裕
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/23
- メディア: コミック
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「それは、『弾正』や『大蔵』より格下の名ぞ…
つくづく出世欲がのうなったのう左介」「いえ、他の欲が身体中にみなぎっておるのでございます」
物語の始まったときには織田家配下の一武将に過ぎなかった主人公古田左介も、秀吉の世になり遂に位を得て古田織部守に。
それによって得た自由やらなにやらで彼の数寄者ぶりはもう最高潮。
歴史上の古田織部を見てもここから徳川時代初期までが彼の最盛期とも言える時代なので、5巻以降でさらにはっちゃけてくれることを期待しますよ。
それにしても、「俗物」が褒め言葉になるこの作品において、自分の信ずる価値観を日本中に広げるためには全てを利用する千宗易(利休)のあまりにも圧倒的な存在感が凄すぎます。
権力者に取り入った茶人といった通り一遍の言葉で描写できるものではありません。数寄の怪物と言うのがまさに相応しい。
が、歴史を紐解けば作中の時代の少し後に秀吉の不興を買って利休は自害してしまうわけで。
「武」の側の代表である信長の自害シーンであまりに独創的な、しかし信長ならありえると思えてしまう斬新な描写で読者の度肝を抜いた山田芳裕が「数寄」の側の代表である利休の自害をどのように描くのだろうかと言うのが今から気になってなりません。