偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

DIVE!!

DIVE!!〈上〉 (角川文庫)

DIVE!!〈上〉 (角川文庫)


DIVE!!〈下〉 (角川文庫)

DIVE!!〈下〉 (角川文庫)


高飛び込み。
高さ10mの飛び込み台から1.4秒で飛び込む、ただそれだけの競技。
それをこんなに「熱い」スポーツとして描けるなんて!!


上巻中盤くらいまでは伏線を「ここ伏線だよ」とばかりに強調するスタイルにいまいちなじめず違和感を感じることしきりでした。
が、気が付けばお話に引き込まれてそんな事はどうでも良くなっている俺が。
栄光と挫折、ライバルとの競い合い、自分との闘い、コーチとの信頼関係。
実に王道のスポ根ものにして青春小説です。


「後ろ踏み切り前宙返り一回半蝦型」なんて技名を書かれても具体的に何をやっているか詳しく無い身にはさっぱりなのですが、それでいて緊張感溢れる試合シーンを演出できている描写の妙がまた凄い。
下巻後半(最初に4分冊で出版された際の4巻部分)まるまる使って一試合を描き、それでいてまったくダレ無いですからね。
この辺りは(向こうはフィギュアスケートですが)「銀盤カレイドスコープ」を思い起こしてしまいました。


そして主人公三人のそれぞれ方向性の異なるキャラクターと、「得意技」等を通した飛び込み選手としての個性がぴったり一致しているのも上手いです。
三人とも最終的に選手としては相当な実力を持つに至りますが、選手としての方向性が異なるため誰が一番とは俄かに判断できません。三者三様に「強い」というか。
それが3人の競い合いになる終盤の緊張感を盛り上げることにつながり、結果的に勝者と敗者に分かれてしまいながらも爽快感溢れるラストシーンにつながっていたのではないかと思います。
いやぁ文句なしに面白かったわこれ。