- 作者: えすのサカエ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/03/26
- メディア: コミック
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あからさまにおかしい人は、「おかしい人」という枠組みでむしろ理解しやすいからこそ対処のしようがあるわけで。
その点、普段はまったくもって普通の(ちょっと強引だけど)恋する乙女でありながらも、ふとした際に恐ろしく深い狂気の淵を覗かせる本作のヒロイン我妻由乃には「理解できないもの」としての怖さがあります。
ちょっと強引に迫ってくる少女と、彼女に丸め込まれてしまった母親に囲まれてあせる主人公というコテコテのラブコメをやっておいた直後に由乃の狂気を描写するシーンは3巻最大の見どころかと。
気立てがよく心優しいようでいて実のところは主人公以外の世界の全てに一切価値を認めていないということをこれ以上ないまでに描いた「道具を使わずにすんだもの…」には流石の俺も寒気がしました。
持ち上げといて急に落としてくるのは反則だよ。
3巻終盤でも示唆されていますが、ここまできたら由乃が「まとも」になることははっきり言ってありえず、二人で狂気の世界に旅立つのかそれとも彼女を切り捨て日常に戻るかの主人公の身の振りようが今後のお話の焦点になるのかも。
前にも書きましたが、こんな作品が仮にも少年誌の範疇に含まれる少年Aで連載されているということ自体が既に驚きですよ。
あと、邪悪ヒロイン萌えとして2巻の遊園地デートのときのかわいらしい態度は全て主人公を「転ばせる」ための演技だと信じてやまなかった俺ですが、3巻でそれが心からのものだったということを示唆する描写があってちょっとがっかり。
ま、そういう方向の黒さがなくても十分楽しめてますが。怖可愛いとかそんな感じ。
キャラクター類型としての「ヤンデレ」を象徴するヒロインとか言われているのも納得ですね。