ウィザーズ・ブレイン4(上)-6(中) 他
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ウィザーズ・ブレイン〈6〉 再会の天地〈中〉(電撃文庫 さ 5-9)
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更新休止中にまとめて読み、ついでに特集記事が組まれていた電撃hpも買ったので感想。
ちなみに電撃hpでの著者インタビューでいわく、
作品を一言で表して「かわいい男の子とかわいい女の子が出てきて、物理の力で戦う未来のファンタジー」
だそうです。ファンタジー?
お話自体はまずプロットありきでキャラ立てや諸々の描写がいまいち、とまでは落ちずとも何とか読めるくらいのレベルで特筆すべきことはありませんけど、上記の「魔法」描写だけでもうお腹一杯。
ウィザーズ・ブレイン(1) - 偏読日記@はてな
描写やなにやらは修練によって上達することが出来ますけど、こういう素晴らしいバカSF(褒め言葉)を思いつける発想というのは唯一無二なわけで。
そして加速していくバカSF(褒め言葉)戦闘描写。
ウィザーズ・ブレイン(2) (3) - 偏読日記@はてな
1巻の時点で「光速の70%(秒速2万km)で移動」なんて言ってましたが、能力のバリエーションがどんどん増えて恐ろしい事になっています。 脳内コンピューターがデュアルCPUなのでプログラム(=魔法)を並列実行できるとか、世界を質量とそれによる空間の歪みで認識する重力制御特化型魔法士「光使い」とかもう最高。(中略)
このままバカSFっぷりと文章テクニックが共に向上していくのを楽しみに続刊も読んでみようかと思います。
1〜3巻の感想でこんなことを書いた通り、無駄に理詰めでSFな「魔法」設定と脳内埋め込みコンピューターへのコマンドの羅列に近い独特の戦闘描写に心引かれ読んでいたのであってお話自体にはそこまでの魅力を感じていませんでした。
が、4巻辺りから何かが違うと思わせ、5巻でその思いは確信に変わり、気付けば6巻を本気で楽しんで読んだ上に続刊を心待ちにしている俺が。
文章能力が飛躍的に上がってえらく「読める」お話になっているのは無論の事、それまでの巻で登場したキャラが一堂に会して絡むおかげでシリーズ序盤では思いも寄らなかった組み合わせでの対戦が実現しているのもバトルもののお話である以上面白さの要因になっているのかもしれません。
世界最高レベルの(脳内コンピューターの)演算速度を持つがゆえにありとあらゆる攻撃を予測して回避できる奴 VS 自分の身体を構成する原子一つ一つの量子的存在確率を制御することによりありとあらゆる攻撃を透過させて防御する奴 とかデタラメすぎて笑いました。
勝負つかないよそんなの。
それと、インタビュー内で各キャラクターの設定の由来について尋ねられ、
「とにかく触手で戦うキャラを出したい」→「あの世界で触手で戦う必然性を…」→身体制御特化型能力者「龍使い」ファンメイ(2巻)
「ファンネルで戦うキャラを出したい」→「あの世界でファンネルで(略」→重力場制御特化型能力者「光使い」セラ&マリア(3巻)
「眼帯をつけた女の子を出したい」→「あの世界で(略」→情報観測特化型能力者 クレア(4巻)
等々全てのキャラがまず能力のほうから考案されているという話をして居るのが「魔法」設定どころかキャラ構築も理詰めといういか何というかそういう方向からやる人なんだな、と言うのが印象に残りましたね。
6巻までは毎回新しいタイプの「能力」を持つキャラを投入してきていますけど、そろそろ物理学的制御の利くものが打ち止めのような気もします。
もう制御するものは「時間」くらいしか残ってないんじゃないかな。