略奪者
- 作者: J.C.ポロック,J.C. Pollock,広瀬順弘
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
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第二次世界大戦中ナチスドイツが欧州各地から略奪・収集した美術品たちにまつわる秘密を記した「ゲーリング・ファイル」
それがドイツ赤軍派の一匹狼テロリスト、シュトラッサーの手に渡ったところから全ては始まった。
彼を追うCIA、モサド*1、SVR*2それぞれの凄腕エージェント達。
「ゲーリング・ファイル」の戦後世界を揺るがす秘密とはなんなのか?そして謎に満ちた作戦名「バックラッシュ」とは?
究極の「個人 VS 組織」の戦いが、いま、始まる。
これは良いハリウッドアクション映画ですね。上のあらすじも映画予告編っぽく書いてみました。
パリ・ニューヨーク・ミュンヘン・と場所を変え、街中でのカーチェイスから銃撃戦まで。
CIAの凄腕工作員・モサドの女暗殺者・SVRのベテラン軍人という3人の主人公が、それぞれ死力を尽くしてシュトラッサーと「ファイル」を追い求めていく様はまさにアクション映画的面白さがあります。
そして単純な「一匹狼のテロリスト VS 諜報機関」と言う図式にせず、シュトラッサーを追う各国情報機関の間でも足の引っ張り合い……とまでは行かなくとも、お互いに牽制しあい相手を出し抜こうとする駆け引きが存在しそれが存分に描かれているのが素晴らしい。
これにより物語に複合的な広がりが生まれ、ひたすら追跡劇の続く中盤以降もダレることは全くありません。
あと、シュトラッサーが一片の同情の余地もない本当に酷いテロリストなのもまた。
ここまで突き抜けているとある種の清清しさすら感じます。殺人にたいする心理的抵抗が全くないものな、こいつ。
敵役として最高のキャラ立てかと。
見た目に派手で映像栄えしそうなシーンも多いし、これは本当に映画化して欲しい作品です。
……でも、ハリウッド映画になるとメロドラマ的部分がクローズアップされて改悪されそうな気もだいぶしますけど。