「東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」
これはやばい…… 甘すぎて読んでるこちらの身体がかゆくなる……
シリーズおなじみの男性主人公一人称視点での丁寧な描写が、以前にも増して全力でもってヒロイン東雲侑子の可愛らしさを表現することに投入されている感があり。その結果としてなんというか恐ろしいものが出来ていました。
メールのやりとりだけで可愛すぎて読んでるとあまりの甘さに正視できなくなりそうでした。まして中盤の2人で旅行からお泊まりの展開など……うわあああああああ!!
お話しとしての起伏はほとんどなく非常に淡々と進むぶん、逆に破壊力が半端じゃないです。
人並み以下の、男の方にあれこれ説明されなくては何も出来なかった少女が、ばっちり普通の女の子になりました、というのがこの「東雲侑子」を冠したシリーズの顛末なのである。
(中略)普通に恋愛をして、時には嫉妬したり、時には寂しがったり、時にはいたずらっぽく、時にはしおらしく、みたいな、そんな女の子になったと言うことだ。東雲侑子は。
そしてそんな女の子になってしまった東雲侑子は、きっともうライトノベルという枠組みの中ではヒロインたり得ない。(あとがきより引用)
あとがきでの筆者自身によるこの解説、本シリーズ全3巻を非常に良くまとめているかと思います。
登場当初は浮き世離れしてつかみづらい少女だった東雲侑子が主人公との恋愛で「経験」を積んで普通の女の子になり、違った意味での考えの読めなさ、女の子のミステリアスさのようなものを身につけていく。その過程を、男性主人公視点での一人称描写によって丹念に描き出していく。こういうタイプのお話しは好みなので、とても楽しませてもらった全3巻でした。このまま同著者の他の作品にも手を出してみましょうかね。
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