永遠の森 博物館惑星 菅 浩江 早川書房 2004-03-09 by G-Tools |
覚えてね。
こういうのが『綺麗』なの。
この幸せな気分も一緒に覚えてね。
ただ一言、傑作。
「ラグランジェ3に浮かぶオーストラリア大陸ほどの大きさに人類領域全てから文物を収集した博物館惑星」とか、「美の追求のために博物館惑星のデータベースと神経接続した学芸員達」なんて単語に燃える奴(=俺)はもちろん、SFなんてもってのほかな人でも楽しめる、というかむしろそっち向きかも。
絵や音楽、ドールや舞踏といった個々の芸術とそれをめぐる人間ドラマを書く各短編が、結果として「人は芸術とどう向き合うべきか」という作品全体を貫くテーマを語っているという構成は実に巧いです。
少々話の先が読めすぎる(Ⅵ話「永遠の森」は1割くらい読んでオチがわかりました)のとロマンチックな方向に走りすぎなきらいはあるとはいえ、それを上回る魅力があります。
たんなる「ちょっといい話を集めた短編集」だと思ってなめてましたよ。こりゃ凄いや。