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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

ミッションMIA

感想

ミッションMIA (ハヤカワ文庫NV)

ミッションMIA (ハヤカワ文庫NV)

グリーンベレー大尉のジャック・キャラハンは、かつての戦友フランクの妻から驚くべき依頼を受けた。
フランクは、ヴェトナムの捕虜収容所にいまだ囚われており、彼を救い出すため力を借りたいというのだ。
キャラハンは戦友の救出を決意、即座にグリーンベレー時代の部下を集め始めた。通信、医療、軽火器、爆破―各分野のエキスパート4人を得た彼は、共に猛訓練を積み重ねる。そして綿密な計画をもとに、遂にヴェトナムへ潜入するが…。

まさに「冒険小説」の名が相応しい作品でした。


台詞や何やらで「生死を供にした素晴らしい戦友達」と「議会や国防総省の糞野郎ども」を執拗に対比させるスタイルに最初違和感を多少覚えましたが、これは主人公を初めとする元グリーンベレーたちの立ち位置を確立するためにあえて極端な方法を取っていると言うことなのでしょう。

ベトナム戦に対する政治的など記述はかなり抑え目(あくまで各人の「個人的意見」の範疇)で、主眼となるのはむしろ救出作戦の準備と実行のシーンの手に汗握る緊迫感溢れる描写です。


そしてキャラハンの呼び集めるエキスパート達がそれぞれ見事にキャラが立ってるのもまた素敵。
爆破担当スマッシィと軽火器担当ドナテッリの(友情に満ちた)罵りあいには毎回笑わせてもらいましたし、他のメンバーも皆それぞれいい味をだしてます。

インテリエリート外科医にして医療担当、更にナイフの達人というハウザーの複雑な人物っぷりが個人的に大好き。


「エキスパートを集めた」と言ってもこんな筋書きですんなり救出作戦が終わる筈も無いとは最初から思っていて、まず最初の空挺降下の時点でトラブルが起きても予想の範囲内であまり驚きはありませんでした。

が、そんなものはほんの序の口。
捕虜収容所に突入し、囚われていた米軍捕虜達を開放してからの二転三転どころではない展開にはもうはらはらしっぱなし。
次々に起こるアクシデントと必死の機転でそれを切り抜ける主人公達、そして最後の最後でもはや全ての希望は絶たれたと全員が思ったところでどんでん返し。


「後方で命令を下すだけの政治屋ども」を忌避しておきながらも結局そこに辛め取られてしまう「樹海戦線」とはラストの流れが正反対なんですが、どちらにもいい所があるので甲乙は付けがたいですね。
ハリウッド映画的カタルシスを求めるなら「ミッションMIA」なのですが、現実的で詳細な戦闘描写から繋がるラストとして自然なのは「樹海戦線」なわけで。


<関連エントリ>
樹海戦線 - 偏読日記@はてな
「樹海戦線」なんてタイトルにしておきながら樹海の中での戦いは後半1/3くらいにならないと出て来ないという点が唯一の不満点です。
ずっと樹海の中で戦い続ける話だと思っていたのにっ!!