シグルイ
シグルイ 1 (1) 南條 範夫 山口 貴由 秋田書店 2004-01-22 by G-Tools |
話題になっているのを知りつつも、表紙が怖くてずっと買えなかったこの「シグルイ」
ふとしたことで1巻を立ち読みする機会があり、そのあまりに狂気と残酷に満ちた世界に魅力を覚えて全巻をまとめて購入してみたんですが…こいつは凄い。
昨日の日記を更新した後読み始め、あまりの面白さに止められなくなって一気に5巻読み通してしまいました。
どう綺麗事で飾り立てようが、結局人殺しの技である剣術を極めようとする人間なんてものは「普通の人」の範疇を多少なりとも外れていってしまうもの。
そういった狂気の部分を余すところなく描き、そして剣術を行使した結果であるところの残酷さから逃げないで真っ向からそれを描写したこの作品にはなんともいえない魅力があります。
一瞬の攻防どころか出会い頭の一太刀で勝負が決まってしまう剣戟シーンを、圧倒的な画力で読ませるものにしているところも評価大。
派手な斬り合いなんかに頼らなくてもここまで迫力あるシーンが描けるとは。
あと、以前から「ぬふぅ」「ようやくまことの○○にめぐり合い申した」「う、うまれたぁ」「はかった楠、はかってくれた楠」等々パロディにされているネタの部分だけ先に知っていたんですが、読んでみると確かにこれはネタにもしたくなりますね。
本人達は大真面目なんだけど傍目にはギャグとしか思えないシーンが頻発。
剣の腕前は最強クラスなのに普段の行動はボケ老人な虎眼先生などその際たるものかと。
そしてそんなシーンを徹頭徹尾大真面目に描くことで(そりゃ本人達は笑いを取ろうとしているわけではないですから)剣術を極めんとする登場人物達が「普通の人」とは違う世界に生きているという事を読者に知らしめているのだと思いますよ。
…と言うのは少々褒めすぎか。