思いつきで有珠山に行ってきた
とうやこ!! URL
コミケも終わり、特別に予定のない週末。家でくつろいでいても良かったのですが、晴天に誘われて衝動的に有珠山に行ってきました。
目当ては西山火口散策路。2000年の有珠山噴火で被害を受けた遺構がそのまま保存されているので有名なあそこです。
洞爺湖温泉街に駐車し、金比羅火口災害遺構散策路→フットパス金比羅・西山コース→西山火口散策路→温泉街まで徒歩 と延べ10kmくらいを歩きながら写真をたくさん撮ったので幾つか紹介してみます。
火山性の廃墟って上に土が積もってそこに植物が生えるんですね。考えればわかることとは言え、この目で見るとちょっとした驚き。
温泉街に到着、駐車場に車を止めて金比羅火口災害遺構散策路へ向かいます。
西山川の砂防ダム。
砂防壁の内側に石で書かれた"I love Toya" ひとつ前の写真の砂防ダムとつながった砂防壁の上がそのまま遊歩道になっており、そこから見下ろして写真を撮っています。
ここから少し歩いて山側へ階段を下り、砂防区域の中へ入りました。
内側から見上げる砂防壁。このすぐ向こう側は温泉街なので、さながら洞爺湖温泉街最終防衛ラインとでも言ったところでしょうか。
2階建ての家の屋根くらい高さのある壁が野原の中に延々と続く光景はかなり異様でした。
砂防壁の向こう側に洞爺湖ビジターセンターの屋根がすこしだけ見えます。
山側に回り込むと土石流で室内がすっかり埋まっていました。部屋の造りから恐らく浴場だったと思われます。
温泉施設のすぐ山側にあった謎の鉄塊。回り込むと柵と街灯のようなものが付いています。
1階が完全に土に埋まっている集合住宅。写真右側、2階(地面のすぐ上)のベランダが欠けているのはひとつ前の写真の流れてきた橋が衝突した傷とのこと。もう言葉もありません。
一通り見て回った後、フットパス金比羅・西山コースへ。
獣道のような細い道を通って山の上へ登っていきます。
途中で旧国道230号を通ります。路面のひび割れ・隆起がひどく、見る影もありません。折れたり曲がったりしたカーブミラーが道路脇に立っていました。
温泉街を守るために構築された何重もの砂防壁。写真の中だけで3本のラインがあるのがわかります。一番向こう側に見えるのが先ほど載せた"最終防衛ライン"です。
有くん火口。手前に見える土の壁が火口の縁で、ものすごい急傾斜に立って写真を撮っています。
写真左側が火口の中、右が俺が立っている火口外の斜面。少しでも気を抜くと滑り落ちそうでした。
この後はさらに山を登って尾根を越えて西山火口散策路の入口の方へ下りていきました。「フットパス」なんて洒落た名前が付いているものの実体は単なる登山道に近く、気持ちの余裕がほとんど無かったので写真はなし。
すれ違う人もなく山の中を一人で歩いていたので、道が下り坂になって西山火口散策路入口の土産物屋が見えてきたときには心底ほっとしました。
散策路入口にある西新山沼。2000年の噴火で付近が隆起した結果、以前はなんでもなかった場所が(相対的に)低くなって水がたまってできたそうです。旧国道230号線上のため、沼の中から電柱や道路標識が生えています。
西山火口散策路入口の土産物屋に居た猫。人間に慣れきっていて、近づいても逃げるそぶりを全く見せませんでした。
土産物屋が並ぶ入口を抜け、ゲートを通ればいよいよ西山火口散策路です。
亀裂と凹凸、傾きのひどい旧町道を登ります。写真では平坦に見えますが、実際は右側にだいぶ傾いています。
左側(旧国道230号方向)をみると折れた電柱が立っていました。
最高地点の西山第1展望台。この掲示板のすぐ向こう側は火口ですが、柵に囲まれているため有くん火口のように近づくことは出来ません。
……やろうと思えば火口の沼に歩いて入れそうな有くん火口が例外なのでしょうけど。
折れた電柱の向こう側に見える沼が火口跡です。
アパートがあった跡。ただの土の山になっていて言われなければ判りません。
噴火開始時に火口付近で水道工事をしていて、避難の際に置き去りにされ土に埋もれたシャベルカー。こちらもシリンダーが少しだけ地面から顔を出して居るのみで、言われなければ判りません。
「踏み抜かないようにご注意ください」と言われても……
看板を見てから枕木の上から下りるのが怖くなりました。
なんの変哲もないその辺の斜面から硫黄臭い蒸気が。
西山第2展望台から菓子工場の廃墟を望む。
西山火口散策路の風景として最も有名かつ強烈なのがこの菓子工場跡ですね。1977年火山遺構公園の廃墟と同じくこちらも積もった土の上に植物が生え、緑の中に埋もれつつありました。
散策路の終わり近くの洞爺湖幼稚園跡。火口側を向いた壁に火山弾による穴がたくさん空いていました。
ここまで歩いて西山火口散策路はおしまい。周遊路でなく山を越えた一本道のため、もう一回引き返して同じ道を登って帰りました。
写真を撮りながらだと1時間近くかかった道のりも、早足で脇目もふらずに歩けば15分程度で通り過ぎてしまうだけのものでした。
帰りのバスが無かったので西山火口散策路の入口から洞爺湖温泉街まで徒歩で帰ります。途中で山腹から見下ろす夕日を浴びた温泉街。
西山火口散策路の遺構を目当ての小旅行でしたが、むしろ洞爺湖温泉街を守るための砂防壁のほうが衝撃的でした。
何があっても温泉街を守るという執念が伝わってくるような、何重にもなった巨大な壁が連なるあの光景の異様さは例えようがないものがあります。普通なら人里離れた山中にあるような砂防ダムなんかが市街地のすぐ後ろにありますからね。