月見月理解の探偵殺人(1)
一人称ミステリとしての勘所をきちんと抑えた上で、エキセントリック過ぎるヒロインで話を回すキャラクター小説としてもよく出来ていて感心。「信用できない語り手」系といいますか、依頼主は消去法で誰かすぐ判ったけれど犯人は外したよ……
最初から最後まで一貫してクソ憎たらしいヒロイン月見月理解(表紙の娘)の造形が上手いなあと思う次第でした。この理解、序盤はまともに会話する気がほとんど無いので主人公のみならず読者のこちらまで相当にいらつかされること請け合いです。しかし読むのをやめるまでもないギリギリの線をひたすら攻め続け、終盤で少しだけ内面を明かして共感させたところで最後にどんでん返し。
「人狼BBSをネタにしたラノベがある」という触れ込みで教えられたのが本作を読むきっかけだったものの、その種のネタは味付け程度に使われているくらい。人狼BBSをまったく知らない俺でも楽しく読めました。
どうやら現在5巻までシリーズが続いているようなので、そのうちに続刊にも手を伸ばそうと思っていたり。1巻の発行が2009年なのでもっと早く読んでいれば良かったと思いますよ。