偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「史実→キャラ」でなく「キャラ+史実で味付け」へ - 「艦隊これくしょん」における軍艦擬人化について

艦隊これくしょん~艦これ~ DMM.com×角川ゲームスが贈る新鋭の大型戦略コンテンツ - オンラインゲーム - DMM.com

飛ぶ鳥を落とす勢いで流行中の「艦隊これくしょん」 俺も6月半ばに登録してからずっと楽しくやってます。
f:id:a-park:20130718011339j:plain
いまの一軍メンバー。戦艦+航空戦艦×3+正規空母+軽空母という航空特化シフトでボーキサイトの消費がやばい。



ゲームシステム、「萌え+軍事」という組み合わせ、なぜここまで一瞬で流行したのか、攻略情報などについては俺以外がいくらでも語ってくれているのでそれらとは別の観点、本作における「艦船擬人化」について気になるところがあったので書いてみます。






兵器全般の萌え擬人化は昔から行われており、もちろん艦隊これくしょんの専売特許ではありません。
2ch発祥のFrontPage - 制服兵器兵站局、商業媒体ではMC☆あくしず。他にも例を挙げればいくらでも存在していました。


が、どうもこの艦隊これくしょんにおける艦船擬人化は、従来の擬人化とは一線を画しているように思えるのです。

たとえば雷電姉妹(「雷電姉妹」のイラスト・作品検索一覧(pixiv)
駆逐艦雷と電がスラバヤ沖海戦で敵兵を救助したという史実を基に擬人化したら、救急箱を持っているなど「史実」を連想させる要素がデザインに入ってくるのが一般的な兵器擬人化でした。しかし艦これは見ての通りああいう可愛い女子中学生で、史実についてはゲーム中の台詞のほうで触れています。


たとえば天龍。序盤にプレイヤーの皆が接する彼女は、印象的なキャラクターも相まって妹の龍田と揃って人気があります。

フフ、怖いか? by 菊のすけまる@貴サークルは落選 on pixiv


しかしこの性格や口調、史実の軽巡洋艦 天龍の要素がどこにあるのかと問われるとちょっと首をひねってしまいます。水雷戦隊旗艦として生み出された型だから勝ち気、とかそのくらいでしょうか。
華々しい活躍も痛ましい悲劇も無い、太平洋戦争開戦時にはいくぶん旧式化していた軽巡洋艦にすぎない彼女にこれだけ強烈なキャラクターを付けるというのは史実ベースのみではなかなか難しいです。
というか天龍が擬人化されたのって艦隊これくしょんが史上初なのでは……? 少なくとも制服兵器兵站局の過去ログ、手持ちのMCあくしずのバックナンバー、ざっとウェブ検索してみたかぎりでは見つかりませんでした。


次に来るソシャゲはこれ!艦隊これくしょん -艦これ-が面白いと話題に - NAVER まとめ

上記の記事に書かれているようにこの子可愛い→史実調べてみようとなるのは、史実を反映してキャラが造形されているからではけしてなく、その艦娘自体が魅力的だから。キャラクターに愛着が湧いたからより背景を知りたくなるのであって、史実での出来事がキャラクター造形に組み込まれているからでは無いと思います。

プレイヤーは、擬人化兵器たちがいかに史実を反映しているかの答え合わせをしたいわけではないので。

従来の兵器擬人化が「史実→キャラ」なら、艦隊これくしょんは「キャラ+史実で味付け」 そこに存在するのはとても僅かな差なのだけれど、たぶんこれが元ネタの大日本帝国海軍艦艇軍事に一切興味が無い層にまで幅広く魅力を感じさせている源泉なのだと俺は考えています。


そしてなぜ艦隊これくしょんがこうなったか。そこには新しい擬人化を打ち立てようという意志があった……わけではなく(有ったとしても薄く)ゲームシステム上同時に100隻近くを擬人化する必要性からこうなったのが結果として上手くはまったのではと考えています。
1回の擬人化で1~3隻程度の擬人化が主であった従来の萌え擬人化(イラスト等)と大きく異なるのはここですね。
お陰で駆逐艦、軽巡洋艦などは特に目立ったエピソードの無いようなものまで擬人化が行われています。


プレイ開始当初、特型駆逐艦が9人も擬人化されていたり、
f:id:a-park:20130717010606j:plain


睦月型駆逐艦が8隻も擬人化されていたりで驚いたものでしたよ。
f:id:a-park:20130717010607j:plain

吹雪型」「睦月型」として擬人化するか、ネームシップもしくは有名なエピソードのある艦のみ擬人化しようと思うのが普通だと思います。序盤に大量に手に入るコモンキャラを全部駆逐艦にするというのがまず勇気あります。よくやったもんだ。



とまあ、長々と語ってしまいましたがこれもゲーム自体が面白く、擬人化された艦娘たちが可愛く、こうして語りたいと思わせるだけのものがあるから。
記事を書いている間に資源も溜まったので、沖ノ島海域(通称2-4 序盤最難関)の攻略に移りますよ。もう2週間くらい挑み続けているのでそろそろクリアしたい。







記事の修正について追記

コメントにて指摘がありましたので追記します。

本記事の最初のバージョンでは冒頭部分に以下のTweetを載せていました。

この部分について、艦これ番外編 「史実へのリスペクト?」 : Blinking Shadowにてリンク先のさわK氏より指摘を受け、これらのTweetがさわK氏の記事の趣旨を汲んでいないこと、これらのTweetの引用が無くても本記事の趣旨は成り立つことから、該当部分を削除しております。

ガールズ&パンツァーが面白かったらWoTをやろう

ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER)|公式サイト

ガールズ&パンツァー、面白かったですね。つい先日バンダイチャンネルで配信が開始した11,12話を観まして、見事な大団円に感動しております。
「ガールズ&パンツァー」が面白かったんだが - 偏読日記@はてな
前半を見て書いた感想記事はこちら。
そこまで入れ込まないで見ていたはずなのに、12話「1年なめんな!!」の下りでは不覚にも涙しそうになりましたよ。序盤のあの頼りない彼女たちが、ここまで成長し奮闘していることに心を打たれている感覚、まるで弱かった頃から応援しているスポーツ選手が大活躍しているところを見て喜んでいるようなあの感じはなんとも不思議でした。


というわけでガールズ&パンツァーという作品はひとまずの終わりを迎えましたが、この彼女たちと一緒に培った戦車への熱量をもてあましている方もいることでしょう。そんな貴方におすすめのゲーム、それがWORLD of TANKS(WoT)
この現実世界に戦車道は無いけれど、それと似たような雰囲気を体験できるゲームはあるんです。

続きを読む

早狩武志論 「うまくいくばかりが、恋じゃない」 全文公開しました


早狩武志論 「うまくいくばかりが、恋じゃない」 - 偏読日記


2010年8月 コミックマーケット78にて発行された「恋愛ゲームシナリオライタ論集30人×30説+」に寄稿した早狩武志論 「上手くいくばかりが、恋じゃない」
収録元の同人誌が完売し、主催のthen-d氏の許可も出ましたのでこのたび全文公開しました。

2004年に「僕と、僕らの夏」を通して早狩武志作品と出会って以来、はてなキーワード早狩武志」の唯一のメンテナとして6年半を過ごしながら色々な所で断片的に書いてきた早狩武志作品についての論述をひとつにまとめたのがこちらになります。

「くそっ」だけが早狩作品じゃないよ。

わたしを、つかって。こわれるくらい めちゃくちゃに - 「ギルティクラウン ロストクリスマス」

ギルティクラウン ロストクリスマス 通常版
ギルティクラウン ロストクリスマス 通常版

だが心せよ。
この物語は──お前の物語は、過去の物語。
結末は決まっている。
悲劇は回避できない。
ロストクリスマスは来る。
だから──
お前の選択は、全て無意味である。


鋼屋ジン流ボニー&クライドここにあり

ギルティクラウン(TV版)は前半(1〜11話)をニコニコ動画での一挙放送で観たのみなので設定面やTV版との繋がりの辺りでいまいち判らないところが何点かあったものの、そんなのどうでも良くなるくらいの格好良さにしびれてました。

ちょっと尋常じゃないレベルのキレのあるテキスト、立ち絵+テキストウィンドウ&イベントCGというノベルゲーム形式で実現できる極限なんじゃないかと思える画面演出、それらを盛り上げる声優の熱演とBGM。
全編オートプレイにし、普段アニメを観るような気分でサブモニタでずっと流す形でプレイしたのは本作には最適のスタイルでした。ノベルゲームではなく、短編アクション映画を鑑賞するような気分で接するのがきっと本作を一番楽しめる向き合い方。

TV版前半を一挙放送で観ている際の感想ツイートから抜粋。短編の前日譚ということでお話が小さく単純になり「段取り」が軽減され、格好いい部分のみが取り出された結果が本作なのではないかと思ったりしました。


ギルティクラウン オリジナルサウンドトラック
ギルティクラウン オリジナルサウンドトラック
音楽が本当に良かったのでサウンドトラックの購入にかなり気持ちが傾いていたり。「βios」あたりの曲はもう前奏がかかるだけでやばい。

本家サイトに「カミカゼ☆エクスプローラー!」長文レビュー記事をアップ

カミカゼ☆エクスプローラー!レビュー - 偏読日記


運営している俺自身もそろそろ忘れそうになってきているけれど、"偏読日記@はてな"というこのBlog名は偏読日記はてなダイアリー版という意味でありあくまでもゲームレビュー&書評サイトとしての本家は向こうの方なんだぜ。
ということで、ゲームレビュー&書評サイトである本家サイトに改めてカミカゼ☆エクスプローラー!レビューをアップしました。基本的には"学園ハーレムエロゲ"の洗練の極み - 「カミカゼ☆エクスプローラー!」 - 偏読日記@はてなと同じ内容ですが、あまり極端な長文を書けないというBlogの縛りから解放された結果とんでもない長さになってしまいました…… はてダ版の感想記事では書いていなかったキャラごとの記述を入れたというのも長文になってしまった理由の一つ。

にしても、2012年にもなって<font>タグで字を強調したり赤くしたり大きくしたりするのたのしいですね!! やはり自分の出自はこの手のテキストサイトにあるのだと実感した次第。