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偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

タライを喚ぶ、それだけがわたしにできること - 「よくわかる現代魔法」(1)

よくわかる現代魔法 1 (ジャンプコミックス)


小説版のイラストレーターである宮下未紀自らによるコミック化。小説版は既読であり、イラスト共々に好きなので購入。


世界観もキャラクターの背景もましてや彼女たち相互の関係も、なにもかも全ての説明を最低限で放り出してただ事態だけが進行していく0話にまず度肝を抜かれました。
これは0話が「ジャンプSQ.II」vol.001(2008年4月18日発売)掲載のプロローグ編Wikipediaより)という扱いであるからでしょうけど、あまりにも展開が早くあっけにとられている間に終わってたよ。


流石に本編となる1話以降ではそこまで飛ばさないだろうと思いながら読み始めれば、またもや予想を見事に裏切られ。
忠実に小説の筋を追うのでなく、展開の遅い序盤を大胆に省略した上で各話ごとにきちんと見せ場を持ってきてます。
なんせ物語の根幹をなし、作品紹介の際には必ず取り上げられる「コンピューターのプログラムとして実行できる魔法 = 現代魔法」について長々と語られるのが4話ですから。つまりは、そんな理屈などよりも大切なものがこのお話にはあると言う事。


コミック版になってエピソードが追加されたおかげでよりいっそう強調されているとおり、端的には「よくわかる現代魔法」は自己実現の物語なのでしょう。あくまでも「プログラムとして実行することにより成り立つ魔法」はギミックの一つ。
どんな魔法コードだろうが全て「タライを空中に召喚する魔法」に変換してしまう(変換することしかできない)主人公が、その単能の中で精一杯あがくお話なのではないかと。
そして主要な登場人物のほぼ全員が女性かつお話の作りも異能バトルの変種であるのに、まったく「男の子向け」な匂いがしないのが何とも据わりの悪いところ。
絵柄はこんなにガチガチの萌え絵系統なのに、キャラ萌えの匂いがこれだけしないお話というのも珍しい気がします。


それにしても、本作にとって「空から大量にたらいが降ってくる」シーンは主人公がその能力を行使する見せ場の一つです……が、忠実に漫画として再現されるとあまりにもシュールすぎて笑うしかないです。秋葉原の空に大量のタライが、タライが!!