偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

新ジャンル「自称ヤンデレ」

オンリー即売会(病み鍋PARTY)の開催も迫り、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで広まりつつあるキャラ類型「ヤンデレ


たった1年前くらいまでは異端扱い、とまでは行かなくとも萌える人よりガチで引く人のほうが多かったようなこと思うとなんとも感無量です。

そしてそんな俺にさらに追い討ちをかけたのが、某所で「自分がヤンデレだと思う人」(大意)というトピックが立ち、そこに集う賛同者達という光景。
(現在当トピックは削除されています Web魚拓とるか画面キャプチャしときゃよかった)

架空の「お話」を読者の視点から眺めたときに発生するものであるこういったキャラクター類型を自称する人が現れるってことはそれだけ一般に広まったってことですよね。なんともはや。



が、冷静に考えると「自称ヤンデレ」って相当におかしい話じゃないかと言うのが今回の議題。
となるとまずは「ヤンデレ」の定義から始めないといけませんが、現状でははてなダイアリーキーワードの記述がもっとも体系的に述べていると思われるので以後はこれに準拠して話を進めます。

アニメやゲームなどにおいて、キャラクターを記号化するための属性の一つ。

普段は優等生的なキャラクターに見えるが、主人公に惚れており(デレ)、ストーリーの進行に従って明らかになる何らかの事情により、精神的に病ん(ヤン)でしまう女性、もしくはその状態を指す。具体的には、主人公や対抗するヒロインに対して物理的行動を起こすなどが挙げられる。キャラクターの持つ背景設定が感情的な行動として強く表現され、そこが魅力となる。

上記記述からもわかるとおり、 初見では普通の人→ちょっと(だいぶ)おかしい人 という状態遷移が読者という神の視点から観測されて始めて成り立つキャラクター類型*1なのではないかと思うわけですよ。
素質の有無はあるにせよ、もともと「ヤンデレ」であったのではなく状態が遷移した瞬間に彼女(彼)は「ヤンデレ」となるのです。

だのに初めから「アタシってヤンデレっぽいところあるんだ〜」と公言しているというのは、極論すれば単に自分は頭おかしい人ですよと言いふらして回っているのとなんら変わりないかと。
あくまでも他者から言動の変化を認識されて始めて「ヤンデレ」たりえると思うんですが。
自分では全然おかしいことをしている自覚が無いってのが萌えポイントじゃないんですか!?


一昨年から昨年あたりにかけ一世を風靡し、もはやヲタの仲間内符牒ではなく一般的単語になりつつある「ツンデレ」は、既に大量の「自称ツンデレ」を生み出しています
しかし「ツンデレ」も読者という神の視点から状態遷移が観測されてこそ成り立つキャラクター類型であり、最初から自分は「ツンデレ」だと公言するのは何か違う気がしてなりません。
ましてや明確に変化すること(精神的にちょっとおかしくなる)が定義に含まれている「ヤンデレ」を自称することへの違和感と言ったら。

キャラクター類型としての「ヤンデレ」が世に広まりつつある昨今、「ツンデレ」のように女性誌に紹介……は流石に無いにせよ、「周りと違う特別なアタシ」を演出したい中高生くらいの(ヲタの)女の子が「アタシってヤンデレっぽいところあるんだ〜」とか言い出す日はそう遠くないかもしれないですね。
(それは単なる痛い人です)

*1:つまり「お話」の中にしか存在し得ないという事です